米ジェミナイ、「Gemini Earn」顧客へ20億ドル超の払い戻しを完了

「Gemini Earn」顧客へ20億ドル超の払い戻しが完了

破産した暗号資産(仮想通貨)レンディング業者のジェネシス(Genesis)と暗号資産取引所のジェミナイ(Gemini)が、両社が共同管理する「ジェミナイ・アーン・レンディング・プログラム(Gemini Earn lending program)」の23.2万人の個人ユーザーに対し、20億ドル(約3,138.7億円)以上になる暗号資産を返却したことを5月29日発表した。

なおジェネシスが破産申請した2023年1月にロックアップされた資産に対し、242%のリターンを顧客に与えたとジェミナイは伝えている。

2022年の市場暴落後に破産した他の暗号資産企業とは異なり、ジェネシスは限られた資産プールを清算して現金で返済するのではなく、顧客の暗号資産を顧客に返還できた。

ジェミナイによると、ジェネシスに1BTCを貸し付けた顧客は、同社が破産した日以降の劇的な暗号資産の価格上昇の恩恵を受け、1BTCが返還される。ビットコインの価格は2023年1月以降3倍以上になり、6万7000ドル以上に上昇している。

「顧客のためにこのようなリカバリーを達成できたことを嬉しく思います」とジェミナイの共同創設者キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏は声明で述べた。また同氏は 「この長期にわたるプロセスによって生じた困難を認識しており、顧客の皆様の継続的なサポートと忍耐に感謝します」ともコメントしている。

ジェミナイの顧客は、返済額の約97%を即時に受け取り、残りは12か月以内に受け取ることになっている。

また「アーンプログラム」に参加していない大口投資家を含む顧客は、破産により77%の回収額を受け取るとジェネシスは見積もっていた。

「私たちは、彼ら(アーンプログラム顧客)の請求の上限を、申立日時点の価値には設定しませんでした」とジェネシスの弁護士ショーン・オニール(Sean O’Neal)氏は29日に語った。また同氏は「今はジェネシスの残りの債権者への分配に集中する必要がある」と述べた。

「アーンプログラム」に参加したジェミナイの顧客は、ジェネシスに暗号資産を貸し付け、貸し付けた資産に対する利息を受け取っていた。ジェミナイによると、ジェネシスが2022年11月に顧客アカウントを凍結した時点で、同プログラムの資産の合計価値は9億4000万ドルだった。

ニューヨーク州司法長官レティシア・ジェームズ(Letitia James)氏は、「アーン・プログラム」は投資家を欺く「詐欺」であると主張し、同プログラムをめぐってジェネシス、ジェミナイ、ジェネシスの親会社デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group:DCG)を提訴した。

ジェームズ氏は2月にジェネシスと和解し、ニューヨーク州やDCGを含む他の債権者よりも先に、ジェネシスが「アーンプログラム」顧客に返済することを求めた。

ジェームズ氏は声明の中で、「詐欺や不正操作によって投資家が損失を被った場合、その損失は補償されるべきです」と述べた。

DCGは、ジェネシスの顧客への返済は2023年1月の暗号資産の価値に基づいて行われるべきだと主張していた。5月17日に判事が却下したこの主張によれば、DCGは暗号資産価格の上昇による「超過」価値をジェネシスの顧客に返還するのではなく、受け取れるはずだった。

ジェームズ氏の訴訟は、ジェネシスの事業再開の努力を中断させ、代わりに破産清算に軸足を移すことを後押しした。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Gemini customers get back over $2 billion in crypto from Genesis bankruptcy
(Reporting by Dietrich Knauth; Editing by Josie Kao and David Gregorio)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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