「FRBと日銀がビットコインを100万ドルに上昇させるカギ」、アーサーヘイズ考察

BTC100万ドルへのシナリオ

暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は、ビットコイン価格が100万ドルに上昇する重要な原動力になるのは米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行と見ているようだ。同氏のこの考察は、同氏のブログ「The Easy Button」にて5月20日に公開されている。

ヘイズ氏によれば、ドル円為替レートは、世界の通貨供給量を増やすよう中央銀行に影響を与える可能性があるため、「ドル円相場は世界経済の最も重要な変動要因」だという。

一方で円安傾向の進行によって最も損をするのは中国だとヘイズ氏は指摘。

中国と日本は自動車輸出市場を例にとっても輸出競争相手であり、「もし人民元レートが上昇すれば(円安対人民元高)、中国の輸出競争力は損なわれる」ため、「円安が続けば、中国は人民元を切り下げることで対応するだろう」とヘイズ氏は考察している。

ヘイズ氏は中国が米国に圧力をかけでもドル安円高に誘導すると予想しているが、それでも、日銀が金利引き上げという従来の方法で通貨を強くするのは難しいだろうとした。

「日銀が利上げに踏み切れば、証人席のサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)よりも早く破綻する」とヘイズ氏は述べ、そうすれば日銀が保有する50%以上の日本国債の価値が暴落すると、仮定したポートフォリオを用いて説明している。

それでももし日銀がドル円の金利差を縮めるために本当に金利を上げなければならないとしたら、日銀はまず国内の銀行、保険会社、年金基金等に日本国債を買わせるだろうとヘイズ氏は予想。「これらの機関は、日本国債を買うために外国ドル建て資産(主にUSTや米国債)を売却し、そのドルで円を購入し、日銀からマイナスの実質利回りの高い日本国債を購入することになる」と述べた。

日本の民間セクターが数兆ドル分の米国短期証券と米国株を売却することになるため、米国にとって悪い結果を招くとヘイズ氏は指摘している。

「簡単なボタン」を提案

そこでヘイズ氏は、米国債の売却を必要とせずに、ドル安、中国経済のリフレ、円高を実現するため、日銀は金利を上げる代わりに、「簡単なボタン」に頼る方法を提案した。これは、日銀とFRBが指定されたレートで円とドルを交換できる、無制限のドル円「スワップ」だ。

ドル安にするには、ドルの供給量を増やす必要があるとヘイズ氏は指摘。

ヘイズ氏によれば、日銀やFRBは自由自在に自国通貨を増刷できるため、互いに法定通貨を増やすコストは実質的にゼロであり、「財務省は公開市場で円を買い上げるため、これらのドルは日銀のバランスシートから外れるが、一方で、FRBは円の使い道がないため、バランスシートに円が残る」とした。「創出された通貨が中央銀行のバランスシートに残る場合、それは不胎化されたことになるため、FRBは円を不胎化することになるが、日銀は世界のマネー市場に1兆ドルを放出したことになり、供給が増えたドルは他のすべての通貨に対して弱くなる」と考察している。

またヘイズ氏は「市場は円安が進みすぎていることを知っている」とし、「円安のペースは秋にかけて加速すると考えている」と予想。そうなれば、米国、日本、中国には行動を起こさなければという圧力がかかるとした。

ドル/円が200円に向かって急騰したタイミングが「ボタンを押す」のにふさわしいとヘイズ氏は考察。

またヘイズ氏は、お金を大量に刷ることは、他の資産とともにビットコインの価格を押し上げる傾向があるため、暗号資産にとっても好材料だとし、「円安に対して何かが行われるとき、ビットコイン複合体への流入が価格を100万ドル、そしておそらくそれ以上に膨らませることを、私は数学的に推測している」とヘイズ氏は締めくくっている。

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参考:ブログ
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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