米SEC、イーサリアム現物ETF上場の取引所申請を承認

SECがイーサリアム現物ETF上場の取引所申請を承認

米証券取引委員会(SEC)が、ナスダックとCBOE(シーボー)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)からのイーサリアム(Ethereum)価格に連動した上場投資信託(ETF)の上場申請を5月23日承認した。これにより今年後半に同商品の取引が開始される可能性がある。

ETF発行会社も商品の発売前に承認を得る必要があるが、今回の承認はそれらの企業と暗号資産業界にとって大きな驚きの勝利だ。なお20日まではSECが申請を拒否すると予想されていた。

バンエック(VanEck)とアークインベストメント(ARK Investment)/21シェアーズ(21Shares)、ブラックロック(BlackRock)を含む9社の発行体は、業界にとって転換点となった1月のビットコインETF承認を受け、時価総額第2位の暗号資産に関連したETFの発売を望んでいる。

21シェアーズのバイスプレジデント兼法務責任者のアンドリュー・ジェイコブソン(Andrew Jacobson)氏は、「これは業界全体にとってエキサイティングな瞬間だ」と述べ、これはイーサリアム現物ETFの取引開始に向けた「重要な一歩」であると話した。

なお23日は、ヴァンエックのイーサリアム現物ETF申請に対するSECの決定期限だった。SECが申請書について関与していなかったため、否決されることを覚悟していた。

しかし同日にSECが、取引所らに対して提出書類を速やかに微調整するよう要請する意外な動きがあり、業界は数週間の作業をわずか数日で完了させるべく大慌てとなったと関係者は述べた。

この件についてロイターは、SECがなぜ心変わりをしたのか、その理由を確認することはできなかった。

Cboeグローバル・マーケッツのETPリスティング・グローバル・ヘッドであるロブ・マロッコ(Rob Marrocco)氏は、「ビットコイン現物ETFの導入は、デジタル資産とETFの分野にとってすでに大きな利益をもたらしており、イーサリアム現物ETFも同様に米国投資家に安全策を提供すると考えている」と述べた。

承認をうけた他の取引所であるナスダックとNYSEはコメントを控えた。

また暗号資産に懐疑的な人物であるSECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、23日の業界イベントで記者団からイーサリアム現物ETFについて質問された際、コメントを避けていた。SECの広報担当者は承認発表の電子メールで、これ以上のコメントは差し控えると述べた。

取引所への申請では、新商品を上場するために必要なルール変更についてSECの承認を求めていたが、発行体は取引を開始する前に、投資家への開示内容を詳細に記載したETF登録届出書をSECに承認させる必要がある。

取引所への届出とは異なり、SECがこれらの届出書について決定しなければならない期間は決まっていない。業界関係者らによると、この手続きにどれだけの時間がかかるかは不透明だという。このプロセスに詳しい2人の情報筋によると、多くの発行体は取引開始の準備ができているが、SECの企業金融部門は今後数日から数週間のうちに変更や更新を要求する可能性が高いという。

SECは市場操作の懸念を理由に10年以上ビットコイン現物ETFの発行を拒否してきたが、昨年グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が法廷闘争で勝利したため、承認を余儀なくされた。

ビットコインETFとイーサリアムETFのインデックス・プロバイダーであるCFベンチマークス(CF Benchmarks)のCEO、スイ・チャン(Sui Chung)氏は、イーサリアムはビットコインよりも複雑であり、SECの審査には数ヶ月かかると述べた。しかし、ビットコインETFは確立されたテンプレートを提供しているため、SECができることは「ゆっくりとした展開しかない」と同氏は述べた。

ヘッジファンド、資産アドバイザー、個人投資家など、さまざまな投資家が暗号資産ETFに300億ドル以上をつぎ込んでいる。

今回のSECの決定は、主流金融への参入を目指す暗号資産業界の取り組みにとって、もう一つの追い風となる。今週、英国の規制当局も上場暗号資産商品を承認し、米下院は暗号資産に対する規制の明確化を求める画期的な法案を可決した。

この法案はまだ上院を通過する必要があるが、超党派による広範な支持は、業界にとって大きな支持となる。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US SEC approves exchange applications to list spot ether ETFs
(Reporting by Hannah Lang in New York and Suzanne McGee; additional reporting by Douglas Gillison; Editing by Michelle Price, Leslie Adler and Rod Nickel)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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