米上院、SECの暗号資産会計ルール「SAB121」を覆す決議案を可決

大統領は拒否権発動の姿勢

米上院議員の過半数が、SECの指針「SAB 121(Special Accounting Bulletin 121)」を覆す法案を5月16日可決した。

同法案はマイク・フラッド(Mike Flood)下院議員が提出した「H.J. Res 109」と題する超党派の新法案で、「SAB 121」に関する規則を、合衆国法典第5編第8章に基づき議会が不承認とすることを規定するもの。5月8日に米下院で可決されていた。

なお「SAB 121」は2022年3月にSECが発表した指針だ。暗号資産のカストディを検討している機関に対する規制当局の会計ガイドラインの概要を示している。「SAB 121」は、銀行が顧客に代わって暗号資産をカストディすることを禁止しているため、各所で物議を醸していた。

両議会において可決された法案は、大統領に送付されることになるが、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領官邸のホワイトハウスは8日、もしこの法案が回ってきたら拒否権を行使すると表明していた。

今回上院は60対38で法案を可決。8日に下院で可決された際の票数は228対182であり、大統領の拒否権を覆すために必要な3分の2の基準を下回っている格好だ。

暗号資産擁護団体のブロックチェーン・アソシエーション(Blockchain Association)はXにて16日、「上院での採決で60票という圧倒的な『賛成票』は、政治的な隔たりを超えて、議会の両院がこの規則に明確に反対しているという強いシグナルを発している」とコメント。また、「大統領の拒否権発動という脅しは、投票権を持つ国民、特に若者の間で、選挙で選ばれた議員は暗号資産に関心を持つべきという意識が高まっている事実を否定するものだ」と指摘した。

超党派の暗号資産関連法案について

なお同法案の他に、暗号資産に関する超党派の著名な法案としては「21世紀のためのFIT法(the Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act)がある。

同法案は米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)がデジタル資産を規制する際の役割を明確にするもの。昨年7月に委員会を通過しており、今年5月に下院に提出され、採決が行われる予定だ。

親クリプト派で知られる米下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)氏は今年4月、デジタル資産の規制に対し恣意的で気まぐれな執行態度を示すSECとゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長を非難する声明にて、「デジタル資産市場に明確な規制枠組みと強固な消費者保護を提供するために、議会は緊急で『21世紀のためのFIT法(FIT for the 21st Century Act)』を可決すべき」との姿勢を示している。

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参考:上院
images:iStocks/photovs

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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