香港でビットコインとイーサリアム現物ETFが取引開始
香港にて、ビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)の現物ETF(上場投資信託)6銘柄が、4月30日9:30(現地時間)より取引開始された。なおこのうちビットコインETF3銘柄については正午までに2%以上上昇した。
暗号資産の現物ETFが取引されるのはアジアでは初となる。米国では3ヶ月前にビットコインの現物ETFの取引を開始していた。
チャイナAMC(China AMC)、ハーベスト、(Harvest)、ボセラ(Bosera)によるビットコイン現物ETFは、昼過ぎまでに約2.6%上昇した。また同3社によるイーサリアムETFについては、ほぼ横ばいだった。
なおビットコイン自体は1%上場している。
チャイナAMCによると、同社のビットコインETFは当初9.5億香港ドル(約190.5億円)で販売され、3社の中で最大規模だった。
中国本土では暗号資産の取引は禁止されているが、香港は国際金融センターとしてのアピール力を高めるために、デジタル資産取引の中心地となることを目指している。
香港SFC(証券先物委員会)のエグゼクティブディレクターであるクリスティーナ・チョイ(Christina Choi)氏は、この商品のローンチを香港のETF市場におけるマイルストーンとして称賛したが、同時にリスクも指摘した。
「暗号資産資産は非常に投機的で、非常に不安定です…したがって、そのような資産がすべての投資家に適しているわけではないことを思い出してください」とチョイ氏は同ETFのローンチイベントで語った。
今回のETFローンチにより、香港は暗号資産投資家をめぐって米国と直接競合することになった。
米国のビットコイン現物ETFには約120億ドルの資金流入があり、今年初めのビットコイン価格の急騰に貢献した。しかし米国の規制当局はイーサリアム(ETH)の現物価格に連動するETFをまだ承認していない。
ハーベスト・グローバル・インベストメンツ(Harvest Global Investments)のCEOであるハン・トンリ(Han Tongli)氏は、「初日の資金流入は予想をはるかに上回っている」と述べ、「香港は西と東の両方から投資家を引き付けられるため、暗号資産の開発において米国よりも大きな可能性を秘めているはずだ」と付け加えた。
長期的には、暗号資産のETFがリスクコントロール可能な商品であることが証明されれば、同ETFは中国本土の投資家も利用できるようになる可能性があるとハン氏は述べた。
また米国の暗号資産現物ETFとのもう一つの違いは、香港の暗号資産現物ETFが、現金の代わりに関連した暗号資産(今回ならBTCとETH)を使ってETFを売買できることだ。
KPMGチャイナのリスクコンサルティングディレクターであるロバート・ザン(Robert Zhan)氏は、「暗号資産の保有者は、法定通貨に交換する最初のコストをかけずにETFを通じて暗号資産を保有するメリットを検討できるため、このようなオプションは投資家にとって魅力的なはずだ」と述べた。
アナリストの中には、コスト面の懸念から、初期資金流入の大半は現地の個人投資家になるだろうと予想する者もいる。
香港の暗号資産現物ETFの管理手数料は0.3%から0.99%で、現在の米国上場ETFよりはるかに高い。香港の厳格な法的枠組みの下で規制対象のサービスプロバイダーの数が限られているためだ。
現在、香港で承認されている取引プラットフォームはハッシュキー(Hashkey)とOSLだけである。
バリューパートナーズ(Value Partners)のETFビジネス・シニア・ストラテジスト、アレックス・チウ(Alex Chiu)氏は、「香港SFCが長期的に多くの参加者や取引プラットフォームを承認すれば、コストが下がり、競争力が増すだろう」と述べた。
ビットコインは今年約50%上昇し、3月には過去最高値の73,803ドルを記録した。 また30日には約63,000ドルで取引されていた。 イーサリアムは年初から40%近く上昇している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Asia’s first spot bitcoin and ether ETFs gain in Hong Kong debut
(Reporting by Summer Zhen and Sam Shen; Editing by Edwina Gibbs and Lincoln Feast.)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters