ナイジェリアで拘束されたバイナンス幹部が法廷へ
ナイジェリアで拘束された、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の幹部2人のうちの1人が、脱税およびマネーロンダリングの容疑で4月4日にナイジェリアの首都アブジャの裁判所に出廷した。
バイナンスおよび、幹部の2人である米国籍でバイナンスの金融犯罪コンプライアンス責任者であるティグラン・ガンバリヤン(Tigran Gambaryan)氏とアフリカ地域マネージャーである英国系ケニア人のナディーム・アンジャワラ(Nadeem Anjarwalla)氏は、4件の脱税と3500万ドル以上の資金洗浄の罪で起訴された。
ガンバリヤン氏とアンジャワラ氏は2月26日、ナイジェリアに到着した際に同国でのバイナンスの活動に関する犯罪捜査に関連して拘束された。しかしアンジャワラ氏は拘束を逃れ国外に逃亡している。
ガンバリヤン氏は出廷の際に拘束後初めて罪状を告げられたが、求刑には応じなかった。同氏は4月8日と19日にそれぞれマネーロンダリングと税金の容疑で正式に法廷に呼ばれ、その際に求刑が行われるとのことだ。
バイナンス自体はナイジェリアの経済・金融犯罪委員会(EFCC)からは起訴されていないため、同委員会はガンバリヤン氏がバイナンスの代理人として起訴される可能性があると主張している。
ガンバリヤン氏の弁護士チュクウカ・イクアゾム(Chukwuka Ikuazom)氏は、「彼は(バイナンスの)取締役でもパートナーでも会社秘書でもない」と反論し、バイナンスから代理人として告発に応じるよう文書で指示を受けていないと述べた。
またイクアゾム弁護士は、バイナンスとガンバリヤン氏は共同で起訴されているため、ナイジェリアの法律に従い、この事件の第一被告であるバイナンスが送達を受けるまで、自分は答弁に立つことはできないと主張した。
なおバイナンスは法廷に代理人として出廷しておらずコメントもないが、ナイジェリア政府との協議が続いている間は、会社で意思決定権を持たないガンバリヤン氏に責任を問わないよう謹んで要請したと4月3日に述べている。
ガンバリヤン氏はナイジェリアの裁判所に釈放を求めているとのことだ。
ナイジェリアは、慢性的なドル不足に悩んでおり、暗号資産取引サイトがナイジェリアの通貨であるナイラを取引するプラットフォームとして選ばれるようになった後、バイナンスを通貨難の原因として非難していた。
関連ニュース
- ナイジェリアで拘束のバイナンス幹部1名が逃亡、政府はインターポールに支援要請=報道
- ナイジェリア、バイナンスに100億ドルの罰金課したとの報道を否定
- バイナンス幹部らがナイジェリアで拘束。同国中銀総裁から批判も
- 米検察当局、バイナンスを最長5年監視する量刑求める=報道
- ナイジェリア規制当局、VASPに国内での法人設立と登録料引き上げを提案
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Detained Binance executive in court on Nigerian tax, money laundry charges
(Reporting by Camillus Eboh; Writing by Elisha Bala-Gbogbo; Editing by Tomasz Janowski)
翻訳:田村聖次(あたらしい経済)
images:Reuters