三菱UFJ信託銀が分散型IDの実証実験
三菱UFJ信託銀行が、「分散型ID(DID)」と「デジタル証明書(VC)」を用いたメタバース空間での活動履歴証明に関する実証実験の実施予定を4月3日発表した。
なお「DID」は、ブロックチェーンなどの分散型技術の利用により自身で個人のアイデンティティを管理するIDのこと。また「VC」は、検証可能なデジタル証明書のことだ。
同実証実験では、メタバース空間の新規利用者を想定した、個人情報の登録を不要とする利用データの保管を検証するとのこと。また事業者がユーザーに関する情報取得の多寡を適切にした仕組みを用いて、個人及び事業者の双方にとって安心・安全なデータ連携の在り方、処理フロー、パフォーマンス、ユーザビリティ、イベントへの寄与度についても検証するとのことだ。
なお同実証実験は、バーチャルイベントに参加できる専用アプリ「HH cross EVENTS」で展開されるメタバース空間「KAMITSUBAKI STUDIO presents バーチャル謎解きミステリー『魔女謎解』with HELLO OSAKA(魔女謎解)」にて実施するという。
同実証実験は三菱UFJ信託銀行が、XR事業を展開する東証グロース上場企業monoAI technology(モノアイテクノロジー:monoAI)と共に、同実証実験の技術パートナーであるTOPPANデジタルおよびZEROBILLBANK JAPAN(ゼロビルバンクジャパン)の協力のもと、実施するとのことだ。
「あたらしい経済」編集部が三菱UFJ信託銀行へ取材したところ、今回の実証実験にて活用した「DID」は、ZEROBILLBANK JAPAN提供のデジタル証明発行・検証基盤「ZBB-CERT」によって発行されているとのこと。
また「DID」を発行したブロックチェーンについては、パブリックのイーサリアム(Ethereum)メインネットとのことだ。
なお具体的な実証実験の検証項目として、「VCでの情報連携」、「DIDを活用したデータ・マーケティング」、「VCを活用し、バーチャルから現実社会への送客」がある。
「VCでの情報連携」では、魔女謎解DB(データベース)にユーザの個人情報を保持しなくとも、ユーザーを識別可能なVC(セーブVC)を発行する。ユーザーがそのセーブVCを使い、イベント内の中断した地点から再開可能かの有効性を検証するとのこと。
また「DIDを活用したデータ・マーケティング」では、ユーザーが必要に応じ、魔女謎解DBに個人情報を登録することで「VC」と「DID」を紐付けし、ユーザーのイベント参加状況などのデータを登録以前に遡って分析可能かを検証するという。
そして「VCを活用し、バーチャルから現実社会への送客」では、「魔女謎解」を完了したユーザーに対し、「魔女謎解」以外のイベントや現実社会でのキャンペーンなどに利用可能なVC(クリアVC)を発行することで、VC活用の拡張性を検証するとのことだ。
今後三菱UFJ信託銀行とmonoAIは、「魔女謎解」発行「VC」について、現実社会や別のメタバースイベントへの活用などへの拡張性について共同で継続検証していくとのことだ。
三菱UFJ信託銀行を始めとした国内企業8社は昨年10月、分散型ID(DID)と連携したデジタル証明書(VC)のビジネス共創を目指すビジネスコンソーシアム「DID/VC共創コンソーシアム(Decentralized Identifier / Verifiable Credential Co-Creation Consortium、略称:DVCC)」を設立している。
なお同コンソーシアムを共同設立したのは三菱UFJ信託銀行の他、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、TOPPANデジタル、博報堂キースリー、日立製作所、富士通、アンダーソン・毛利・友常法律事務所だ。
この「DVCC」では、DIDとVCの社会実装と普及を促進する相互運用ルールを整備し、社会課題の解決による社会貢献や同技術を活用したビジネス共創に取り組んでいくと伝えれている。
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参考:三菱UFJ信託銀行
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