北國銀行、預金型ステーブルコイン「トチカ」サービス開始
石川県金沢市に本店を置く北國銀行が、同行主体で発行する預金型ステーブルコイン「トチカ」のサービス提供開始を4月1日発表した。
「トチカ」は、ブロックチェーンを利用した預金資産を裏付けとするデジタルマネーとして、日本初の事例になるという。
なお北國銀行は昨年10月よりDigital Platformer(デジタルプラットフォーマー)社と共同で、ブロックチェーンを活用したデジタル地域通貨サービス「トチツーカ」の提供を行っている。
「トチツーカ」は、昨年10月より石川県珠洲市で提供されている、自治体発行のデジタル地域通貨「トチポ」を利用するアプリだが、今回「トチポ」に加え「トチカ」の利用が可能になったとのこと。
この「トチカ」と「トチポ」の具体的な違いとして、「トチカ」は前述したように預金型ステーブルコインであるが、「トチポ」はあくまでもポイントの扱いとなっている。
また発行主体は「トチカ」が北國銀行で「トチポ」は自治体。利用店舗は「トチカ」がトチツーカ加盟店であるのに対し「トチポ」では該当する自治体内の加盟店となる。そして大きく異なるのは「トチカ」は換金が可能であることだ。利用者については共にマイナンバーカードの所有が必要だが、「トチカ」に至っては北國銀行に普通預金口座を有する必要がある。
「トチカ」の利用は、「トチツーカ」アプリ上でチャージ用銀行預金口座の登録等を行うことでトチカ口座が開設され、登録した銀行預金口座から同口座へチャージを行うことで、1トチカ=1円としてトチツーカ加盟店での支払いに利用できるとのことだ。
さらに「トチカ」は、加盟店側の決済手数料は0.5%に設定されている。
今後の「トチカ」の展開として、県内の多くの住民が利用できるよう、県内に利用者を有する他金融機関の預金口座からのチャージ連携を進めるとのこと。またユーザー同士で「トチカ」を送ることができる「個人間送金機能」についても 2024年内に実装を進めるとのことだ。
また県外他地域においては、他金融機関の導入などにも協力し、全国の地域でお互いのサービスが利用できる利便 性の高いキャッシュレス環境の実現を目指すとした。これは他地域の他金融機関による預金型ステーブルコインの発行が、自治体との連携や地域の住民へのサービス普及という観点から不可欠と考えているからとのことだ。
なお「あたらしい経済」編集部が北國銀行の担当者に確認したところ、「トチツーカ」に採用されているブロックチェーンは、イーサリアムベースを採用したプライベートチェーンとのこと。同チェーンはデジタルプラットフォーマーと北國銀行で独自開発したパーミッション型のものとのことだ。
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参考:北國銀行
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