インスクリプションでBlobが渋滞へ
イーサリアム(Ethereum)が先日新たに実装した機能「ブロブ(Blob)」が、インスクリプションに利用する方法が発見され、当初の予定よりネットワークが混雑している。
そもそも「インスクリプション」は、ビットコイン(Bitcoin)ブロックチェーンのビットコインの最小単位である1satoshi(0.00000001BTC)に通し番号をつけ、ひとつのsatoshiに任意のデータを紐づけるプロトコル「オーディナルズ(Ordinals)」に着想を得た仕組み。画像やテキストなどをブロックチェーンに保存するためのもので、取り扱いには大きな処理コストが必要になるためガス代の高騰やトラフィックの急増を引き起こすおそれがある。
「インスクリプション」は様々なブロックチェーンでガス代の高騰や障害を起こすなどで度々話題になり、盛り上がりを見せているものの、コミュニティからも否定的な意見が後を絶たない。
イーサリアムは日本時間3月13日、実行層(EL:Execution Layer)の「カンクン(Cancun)」アップグレードとコンセンサス層(CL:Consensus Layer)の「デネブ」アップグレードの2つを合わせた「デンクン(Dencun)」アップグレードを実施した。
「デンクン」アップグレードでは、一時的に利用可能であり高速で検証可能なメモリ領域である「ブロブ」が実装された。
「ブロブ」は一定の強制保存期間を経て保存が任意になるという特性から、レイヤー2ネットワークがイーサリアムにデータを格納する際の使用が想定され、設計されている。そのため実装後にL2ネットワークのガス代は大きく削減されていた。
しかし3月27日、イーサスクリプションズ(Ethscriptions)と呼ばれるプロジェクトが、「ブロブ」を利用して「インスクリプション(碑文:inscription)」を発行する方法「ブロブスクリプション(blobscription)」を編み出した。これにより「ブロブ」のガス代が大きな急騰を見せ、またL2ネットワークのガス代の高騰も確認されている。
現在ではガス代の高騰はピーク時に比べれば少し落ち着いたものの、当初「ブロブ」のガス代として想定されていた価格より未だ高い状態が続いている。
イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は3月28日のブログ投稿で、「ブロブ」のガス代が高騰していることを認めながらも、以前の仕組みに比べてネットワークのガス代が安価であることを語っている。
なおイーサリアムでは、オーディナルズの「最低限の情報のみをオンチェーンで管理する仕組み」をもとにインスクリプションが開発され、使用されていた。この仕組みによる「インスクリプション」は、スマートコントラクトをデプロイして発行するわけではなく、トランザクションの「Input Data」という領域を使って発行や送金を行っている。
今回イーサスクリプションズは、この手法とは別に「ブロブ」を利用してイーサリアムにて「インスクリプション」を発行する方法を編み出したというわけだ。
Ethereum has blobs. Where do we go from here?https://t.co/P2cyf9sCwb
— vitalik.eth (@VitalikButerin) March 28, 2024
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参考:ヴィタリックブログ
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