バイナンスラボが独立
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のベンチャーキャピタル(VC)およびインキュベーション部門であるバイナンスラボ(Binance Labs)が、密かにバイナンスグループから独立していたようだ。ブルームバークが3月15日報じている。
バイナンスラボのウェブサイトの免責事項には「バイナンス・ラボは独立したベンチャー企業であり、バイナンス・グループの一部ではなく、バイナンス・グループが運営するいかなる事業(バイナンス暗号資産取引所以外も含め)にも関与していない」と記されている。
また、バイナンスラボはバイナンスから商標使用のライセンスを取得しているが、それ以外はバイナンス・グループと何の接点もないことが強調されている。
報道によればバイナンスラボの従業員の契約は、バイナンスが支援するBNBチェーン(BNB Chain)プロジェクトの建付けと同様、暗号資産取引所の従業員とは切り離されているという。しかし、運営面ではほとんど変わらないと広報担当者は述べている。
バイナンス・グループの動向は業界で注視されている。
昨年11月にバイナンスは米国当局との和解のため、43億ドル(当時の価格で約6,417億円)以上を支払うことに同意し、同社前CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏は、米商品先物取引委員会(CFTC)に1億5000万ドル(約223.8億円)の違約金を支払うことに同意している。
2月には米検察当局が、バイナンスを最長で5年間監視するよう求める量刑覚書を裁判所に提出したことが報じられている。CZ氏はアンチマネーロンダリング法違反に対する判決を、4月に受ける予定だ。
なおCZ氏の後任として、リチャード・テン(Richard Teng)氏が新たにバイナンスのCEOを務めている。同氏は30年以上の金融サービスと規制に関する経験を持ち、バイナンスで地域市場部門のグローバルリーダーを務めてきた経歴を持つ人物である。
バイナンスラボによる過去の投資先について
バイナンスラボは、過去複数にわたり様々な企業への戦略的投資を行っている。
昨年8月には「zkWASM」提供のデルフィナスラボ(Delphinus Lab)及び、分散型金融(DeFi)プロトコルのカーブファイナンス(Curve Finance)が発行するCRV(Curve DAO Token)に投資。
同年11月にはオンチェーン情報を追跡する為のインテリジェンス・プラットフォーム「アーカム(Arkham)」が発行する暗号資産ARKMへ投資したことを発表している。
また2022年にはDeFiプロジェクトの「アンビット・ファイナンス(Ambit Finance)」や韓国ゲーム企業プラネタリウム(PLANETARIUM)制作のブロックチェーンゲーム「ナインクロニクルズ(Nine Chronicles)」、分散型取引所(DEX)のパンケーキスワップ(PancakeSwap)、ハードウェアウォレット開発企業「エヌグレイブ(NGRAVE)」へ出資している。
今年2月には、アイゲンレイヤー(EigenLayer)のリキッドリステーキングトークン(LRT)プロトコル「レンゾ(Renzo)」へ出資したことを発表している。