「ビットコインホワイトペーパーの著者でもない」
英ロンドンの裁判所が、ビットコイン(Bitcoin)を発明したと主張するオーストラリアのコンピュータ科学者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏について、同氏が「サトシ・ナカモト」ではなく、ビットコインのホワイトペーパーを執筆もしていないとの裁定したようだ。3月14日、米コインデスクをはじめ各社が報じている。
ライト氏は、2008年に「サトシ・ナカモト」の名で発表されたビットコインの基礎となるホワイトペーパーの著者であると主張している。
それに対しクリプト・オープン・パテント・アライアンス(COPA)が、ライト氏を訴えたことで同裁判は開始された。COPAがライト氏を訴えたのは、自身がビットコイン関連の権利を持つと主張するライト氏がビットコイン開発者を訴えるのを阻止し、ビットコインのオープンソースの性質を維持するためである。
ジェームズ・メラー(James Mellor)判事は3月14日に行われたCOPAの裁判で、ライト氏は「サトシ・ナカモト」ではなく、ホワイトペーパーも執筆していないと述べたという。
判事は裁判で提出された書類は「説得力があった」とし、同氏がビットコインエコシステムを開発していないこと、ビットコインソフトウエアの初期版の開発者でもないといった内容を含む詳細を記した裁判の判決を出す予定だと伝えている。
この結果は、ツイッター創設者のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏や米大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)が支援するCOPAに軍配があがった格好だ。
またメラー判事は、ライト氏がコインベース及びドーシー氏がCEOを務めるブロック(Block:元Square)に起こした裁判を含む複数の裁判を差し止め、COPAの裁判の結果次第とした。なおこれら訴訟においてもライト氏は、ビットコインのブロックチェーンに関するデータベースの権利を保有していると主張している。
なおライト氏の弁護士であるアンソニー・グラビナー(Anthony Grabiner)氏は、この裁定が出る直前、COPAがライト氏に対し、自身がビットコインの発明者だと宣言する行為を防止する命令を裁判所に求める行為に異論を唱えたという。
グラビナー氏は裁判所に対し、ライト氏の表現の自由に関する法的権利を侵害しない判決を検討するよう求めている。
一方COPAは、イギリス検察当局に対し、ライト氏が裁判の中で偽証したかを検証するよう要請する構えとのことだ。
COPAは同裁判の最終弁論で、ライト氏が「サトシ・ナカモト」ではないとする理由を説明したと述べ、その12の理由を3月13日付けで公開している。