Jito Labsがソラナの「mempool機能」停止、サンドイッチボット増加を受け

Jito Labsがサンドイッチボット増加を受けmempool機能を停止

ソラナ(Solana)ブロックチェーンでのMEV(最大抽出可能価値)用インフラストラクチャの開発を行う「ジトラボ(Jito Labs)」が、同社が以前から提供するソラナの「mempool機能」の提供を一時停止すると3月9日に発表した。

MEVとは、ブロックチェーンのマイナーまたはバリデーターがブロックを生成する過程でトランザクションの組み込み、除外、順序の変更を行うことで、通常のブロック報酬やガス報酬とは別に得られる最大の利益のこと。ただしMEVには様々な種類があり、高速な清算などユーザーに良い影響を与えるものもあれば、サンドイッチボットなどのユーザーに悪い影響を与えるものもある。

mempoolは、ブロックチェーンのクライアントノードのうち未確定のトランザクションを一時的に保存しておく領域(メモリプール)のこと。

バリデーターはこのmempoolからトランザクションデータを収集し、ブロックを生成する。この際に任意のトランザクションを組み込むことやトランザクションの順序を入れ替えることでMEVを抽出し、バリデーターは利益を得ている。

このmempoolの機能はイーサリアム(Ethereum)に存在するもので、本来ソラナには存在していない。そのためイーサリアムに比べソラナでMEV抽出を行うのは難しかった。そこで「ジトラボ」はソラナに「mempool機能」を導入するインフラストラクチャを開発した。

しかし「mempool機能」によりサンドイッチボットが増加するなど、ソラナブロックチェーンに対して悪影響を与えていると判断されたため、今回同機能は停止されることになった。

「ジトラボ」によると今回の決定は、「mempool機能」がソラナのユーザーに悪影響を与えるという理由をもとに、「ジトラボ」チームおよびソラナエコシステムのステークホルダーとの協議を経て下されたとのことだ。

ただし「mempool機能」の提供が一時停止となることで、サンドイッチボットが減少する一方、「ジトラボ」が収益を上げにくくなることや、スパムトランザクションを除外することが困難になるなどのデメリットも存在するという声も上がっている。

なお「mempool機能」以外のサービスはこれまでと同様に提供され続けるとのことだ。

サンドイッチボットは、DEX(分散型取引所)などでの取引のトランザクションの前後に自身の取引のトランザクションを組み込むことで利益を得るボットのこと。取引をしたユーザーは取引時点での価格を操作されることになるので、取引した時点で損失が出ることになる。

関連ニュース

images:iStocks/Wiphop-Sathawirawong

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/15話題】DMM CryptoのSeamoon Protocolが中止、FBIがポリマーケットCEO宅を捜索など(音声ニュース)

DMMのweb3事業「Seamoon Protocol」がプロジェクト中止、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサリアムに展開、FBIが「ポリマーケット」CEO宅を家宅捜索、携帯電話や電子機器を押収、英レボリュート、暗号資産取引プラットフォーム「Revolut X」をEU30カ国に拡大、テザー、幅広い資産のトークン化プラットフォーム「Hadron by Tether」提供開始、コインベースがユートピアラボ買収、「Coinbase Wallet」のオンチェーン決済機能拡充へ、イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ、イーサリアム研究者、コンセンサス層の再設計で「Beam Chain」提案

Sponsored

イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2(L2)スケーリングソリューション「リネア(Linea)」が、同ネットワークをサポートするスイス拠点の非営利団体「リネアアソシエーション(Linea Association)」の設立と、2025年第1四半期にガバナンストークンLINEAの発行予定を11月13日発表した