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米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)を証券と見なすかについての考えを現時点では表明したくないようだ。3月7日のブルームバーグTVのインタビューでの発言に注目が集まっている。
インタビューにて、SECがイーサリアムを証券と見なすかについて質問されたゲンスラー委員長は「その質問については保留する」と述べた。
同氏は「これらのいずれの暗号資産についても、投資家が第三者の努力に基づく利益を期待しているかどうかについては、事実と状況が重要となる」とし、「私たちの手元には提出書類がある。コメントは差し控える」と述べている。
SECは現在、複数のイーサリアム現物ETF(上場投資信託)の申請について承認可否の判断を求められている状況だ。
これまでSECは米大手資産運用会社フィデリティ(Fidelity)申請の現物イーサリアムETFの可否判断を1月18日に延期、さらにグレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)のイーサリアム現物ETF転換申請も1月25日に延期した。
また3月4日には米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)の「iシェアーズ・イーサリアム・トラスト(iShares Ethereum Trust)」の上場申請について2度目の判断延期を行っている。
1月の延期の際にブルームバーグ・インテリジェンスのジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は、今後も現物イーサリアムETFの可否判断に遅れが出るだろうと予測。
「現物イーサリアムETFの遅延は今後数ヶ月間、散発的に起こり続ける。次の重要な日付は5月23日だ」とXにて同氏は述べていた。
SECは今年1月、現物ビットコインETFを承認したが、その際にゲンスラー委員長は「(現物ビットコインETFの承認は)暗号資産証券の上場基準を委員会が承認する意思を示すものでは決してない」と強調していた。
ゲンスラー委員長は今回のインタビューでもその姿勢を貫いており、暗号資産は「非常に投機的な資産クラス」と表現している。
またゲンスラー委員長は「キャッシュフローはあるのか、何千ものトークンのユースケースは何なのか?」と投げかけ、「投資家は、これらの商品の中心にいる起業家グループの努力に依存しているため、これらは証券である可能性だってあるんだ」と付け加えた。
ゲンスラー委員長は現在、イーサリアムの位置づけについてのコメントは控えているが、過去には対照的な発言をしている。
2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で教鞭を執っていたゲンスラー委員長は、「イーサ(ETH)は証券ではない」と発言している。
当時のゲンスラー委員長の見解は、SEC企業金融部門のディレクターであったウィリアム・ヒンマン(William Hinman)氏が行ったスピーチの、いわゆる「ヒンマン文書」を参考にしていたものとみられる。
ヒンマン文書では「イーサリアム(ETH)などの暗号資産は創設に伴う資金調達はさておき、イーサリアムやイーサリアムネットワーク、その分散型構造の現状を理解した上で考えてみると、現在のイーサリアムの提供・販売は証券取引ではない。いずれ、この他の十分に分散化されたネットワークやシステム上で機能するトークンやコインを、証券として規制する必要がない場合も出てくるかもしれない」と述べられていた。
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