GBTCのオプション承認を促す
暗号資産(仮想通貨)運用会社のグレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)は、米証券取引委員会(SEC)に対し、「現物ビットコイン(BTC)上場投資信託(ETF)」のオプションを認めるよう働きかけている。
オプションは、株式や上場商品などの資産を、設定された日付までにあらかじめ決められた価格で売買する「権利」を保有者に与える上場(市場)デリバティブ。トレーダーにとっては購買力を増幅させる安価な手段であり、機関投資家にとってはリスクヘッジに利用されることが多い。
グレースケールのCEOであるマイケル・ソネンシャイン(Michael Sonnenshein)氏は、2月28日にSECへ送った書簡にて、同社の「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」のオプションをSECが拒否することは、同社の株主に対して「不当な差別」になると述べ、規制当局が以前、ビットコイン先物と結びついたETFのオプションを承認したことを指摘した。
「GBTCと他の現物ビットコインETPの取引所上場オプションにアクセスすることは、GBTCとすべての現物ビットコイン(上場商品)に投資する投資家の利益にとって極めて重要だ」とソネンシャイン氏は書簡に綴っている。
現在ビットコインは、ETFが暗号資産をより多くの投資家に開放したことで、2020年12月以来最大となる月間47%以上の上昇を記録している。
資産運用会社は機をとらえて、ビットコインのボラティリティを増幅させるオプションを含む、より複雑な暗号資産商品の第2波をSECに提案中だ。
ロイター通信が2月初めに報じたところによると、相次ぐビットコインETFの新商品について規制当局の承認を得るには数カ月かかる可能性がある。
SECは、取引所がオプションを上場するために行わなければならない技術的なルール変更を監督し、通常、ETFが取引を開始してから数日後に承認する。しかし、規制当局はビットコインをコモディティ(商品)とみなしているため、ビットコインETFの現物オプションは、商品デリバティブを監督する商品先物取引委員会(CFTC)の承認も必要となる可能性があり、承認までの規制プロセスが複雑になる。
オプションがなければ、大口投資家はETFに1,000億ドルもの資金を投入することが可能とアナリストは分析しているが、リスク管理の問題があり、多くの投資家は近づけない可能性があると見ている。
ソネンシャイン氏は、オプションは新しいETFの株式の価格発見を容易にし、投資家が市場状況を把握し、ヘッジを行い、収益を上げるのに役立つだろうと述べた。
またソネンシャイン氏は、オプションは、仲介業者やブローカー・ディーラーなどの「規制された市場参加者が商品を取引できるようにすることで、ビットコインをさらに規制の範囲に入れる」ことになると読んでいる。
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Reporting by Hannah Lang in Washington; Editing by Ira Iosebashvili and Franklin Paul
翻訳:髙橋知里
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters