ピーターティールがBTCとETHに再び投資か
ピーター・ティール(Peter Thiel)氏設立のベンチャーキャピタル(VC)であるファウンダーズファンド(Founders Fund)が、再びビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)に投資していることが関係者の話によって明らかになった。このことは、シリコンバレーが暗号資産市場に再び関心を寄せていることを示す。
この件を直接知る2名の情報筋によると同ファンドは、昨年夏の終わりから秋の初めにかけて、暗号資産取得のために2億ドル(約298.7億円)を投資。その半分はビットコイン(BTC)、残りの半分はイーサリアム(ETH)だったという。
シリコンバレーの著名VCによる、これまでに報告されていなかった動きは、2022年に暗号資産市場が暴落する前に最も注目されていた投資戦略であったトークンへの投資に、一部の機関投資家が戻ってきたことを浮き彫りにした。
2022年、暗号資産取引所FTXや他の大手企業の破綻により価格が暴落し、業界は汚名を着せられ、規制当局の取り締まりを促した。またビットコインの価格は15,000ドル近くまで暴落し、2020年以来の最安値を記録した。
今回の巨額の賭けは、苦境に立たされた暗号資産市場の復活を示すものだ。
ビットコインとイーサリアムの価格はこの1年で徐々に上昇し、今週ビットコインは2年以上ぶりに50,000ドルを記録した。しかし依然として2021年11月の最高値69,000ドルを下回っている。
暗号資産に最も早く投資をした機関投資家の1つとして、ファウンダーズファンドは2014年にビットコインを積極的に買い始めた。しかし2022年に暗号資産市場が暴落する前に清算し、約18億ドルの利益を上げた。
2023年夏、ファウンダーズファンドはビットコイン価格が30,000ドルを下回ったときにビットコインの取得を開始し、数か月かけてさらにビットコインとイーサリアムを購入したと、情報筋は付け加えた。ロイターはこれらを購入した際の平均価格を知ることが出来なかった。
なお、ファウンダーズファンドの広報担当者はコメントを控えている。
ペイパル(PayPal)とパランティア(Palantir)の共同創設者であるティール氏は、中央銀行の管轄外に存在するブロックチェーン技術に基づく通貨であるビットコインを公に賞賛している。同氏は、ビットコインが金のような価値の保存手段であり、中央銀行の金融政策に対するヘッジであると述べている。
暗号資産との親和性は、自由主義、小さな政府、技術革新に対するティール氏の関心と一致している。
ファウンダーズファンドは、スペースX(SpaceX)やメタ(Meta)といった企業の初期投資家と知られ、現在120億ドルを超える資産を運用している。同社は暗号資産投資に注力するため、2023年4月にパンテラキャピタル(Pantera Capital)の元共同最高投資責任者ジョーイ・クルーグ(Joey Krug)氏をパートナーとして雇用した。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Exclusive-Peter Thiel’s Founders Fund made $200 million crypto investment before bull run
(Reporting by Anna Tong in San Francisco and Krystal Hu in Toronto; editing by Kenneth Li and Sonali Paul)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters