リョダンシステムズがKepple Africa Venturesと戦略的提携、「INTMAX」のアフリカ展開で

リョダンシステムズがKepple Africa Venturesと戦略的提携

Kepple Africa Ventures(ケップルアフリカベンチャーズ)が、Ethereum(イーサリアム)レイヤー2プロジェクト「INTMAX Stateless zkRollup(イントマックス・ステートレスzkロールアップ)」を開発するRyodan Systems(リョダンシステムズ)への出資を1月26日発表した。なお出資額については非公開のようだ。

ケップルアフリカベンチャーズは、ケニア・ナイジェリアを拠点にアフリカ全土のスタートアップに投資するベンチャーキャピタルだ。現在11ヶ国130社以上への投資を完了しており、イノベーションによって新しい産業が続々と生まれているアフリカにおいて、現地スタートアップの成長をサポートし、日本企業と協業する仕組みを作り出しているとのこと。

またリョダンシステムズは、「INTMAX Stateless zkRollup」の他、生体認証やMPC、FHEなどの最新の暗号技術を搭載したウォレット「INTMAX Wallet」を手掛ける企業。日本人起業家の日置玲於奈氏および藤本真衣氏がCo-Founderを務めている。

なおケップルアフリカベンチャーズは、「INTMAX」プロジェクトのアフリカ展開のためにリョダンシステムズとの戦略的提携も発表している。

ケップルアフリカベンチャーズはリョダンシステムズについて「アフリカ市場において、ハードウェアウォレットに近い安全性を誇る『INTMAX Wallet』に加え、イーサリアムのガス代を劇的に抑えて、最も安い送金手段を提供する『INTMAX Stateless zkRollup』が合わさることにより、爆発的に普及する可能性を持っている」と評価している。

すでにケップルアフリカベンチャーズはリョダンシステムズに対して、現地市場を攻略するための戦略的アドバイスから、現地トップ人材の紹介、「INTMAX」とシナジーのある現地Web3スタートアップとの提携推進などの支援を行っているとのこと。ケップルアフリカベンチャーズは、アフリカのエコシステム全体が「INTMAX」のインフラを基軸に技術レベルが飛躍していくことを目指すと述べている。

アフリカのweb3の現状

ケップルアフリカベンチャーズによるとアフリカの中でも暗号通貨の保有者が最も多いナイジェリアでは、自国通貨の下落が激しく、且つ二重為替相場制とドル不足というマクロ状況により、現地通貨をステーブルコインに交換して資産価値の下落を回避しようとする動きが大衆レベルにまで浸透しつつあるとのこと。

またアフリカ域外に住むディアスポラ(移民コミュニティ)からの少額の送金で生活をやりくりする人々にとっては、従来の送金手数料の高さが死活問題となっており、暗号資産を使用して手数料を抑えた送金サービスも広く利用されているとのことだ。

さらにナイジェリアでは、暗号資産取引に関する規制が2023年12月末に撤廃されたとのこと。同国では中央銀行によって、2021年2月からナイジェリアの金融機関による暗号資産取引が禁止されていた。ただし禁止されているにも関わらず、暗号資産の需要の高さからP2Pをベースにした取引は常に活発におこなわれていたとのことだ。

規制解除の流れは、ナイジェリアに進出するグローバルなWeb3企業に対してもナイジェリアでのプレゼンスを増す追い風となっているとケップルアフリカベンチャーズは説明している。

ステートレスzkRollupプロジェクト「Intmax」とは

zkRollup(zkロールアップ)とは、暗号技術を利用した証明技術「ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)」活用のロールアップのこと。ロールアップは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。

「Intmax」はこのzkRollupを、バリデーターがデータを保持しない(1回のやり取りで状態が初期化する)「ステートレス」な形で提供する。これは基本的な合意レベルで処理を並列化するシーケンサー(シーケンス:順番を制御するコントローラー)の分散化が可能になることや、ユーザーが自らデータを保持できることが大きなメリットとして挙げられるとのこと。

「Intmax」は、その「ステートレス」という特徴を活かして、データの利用効率・シーケンサーの分散化・相互運用性・プライバシーなど、レイヤー2に残る多くの問題を解決するとのことだ。

なお昨年11月に発表されたロードマップでは、2024年第1四半期にて「INTMAX」のメインネットが始動すると記載されている。

関連ニュース

参考:ケップルアフリカベンチャーズ
images:iStock/BadBrother

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【11/1話題】イミュータブルがSECからウェルズ通知、アルゼンチンLABITCONFがサトシの正体明かすと告知など(音声ニュース)

イミュータブルが米SECからウェルズ通知受ける、「IMX」証券性の疑いか、アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開、Crypto[.]comがSEC登録ブローカーディーラー買収、米国ユーザーに株式取引機会提供へ、セキュリタイズ、トークン化資産の管理機能統合の「Securitize Fund Services」立ち上げ、米マイクロストラテジー、「21/21プラン」で420億ドル調達を計画、ビットコイン購入資金で、BIS、中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱、Sui対応の携帯型ゲーム機「SuiPlay0X1」、格闘ゲーム『サムライスピリッツR』リリースへ、ヴィタリック、イーサリアム最後のチェックポイント「ザ・スプラージ」解説、バイナンス共同創業者、「Web3が身近な社会実現目指す」と語る。伝統的金融や規制当局と協力の姿勢も=BBW

Sponsored

アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知(有識者コメントあり)

アルゼンチンで11月1日から開催されるビットコイン(Bitcoin)のカンファレンス「LABITCONF(Latin American Bitcoin & Blockchain Conference)」にて、ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモトが自身の正体を明らかにすると、同カンファレンスの公式Xよりプレスリリースが出された

フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開

米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)が、「オンチェーン米国政府マネーファンド(OnChain U.S. Government Money Fund:FOBXX)」をイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ブロックチェーン「ベース(Base)」上でローンチした。フランクリン・テンプルトンが公式Xにて10月31日発表した