暦年企業は2025年から適用
米国財務会計基準審議会(FASB)が、暗号資産(仮想通貨)の会計処理時の価格測定に公正価値測定を反映させる。FASBが新たな会計基準として12月13日最終決定した。
FASBは、米国の一般に公正妥当と認められた会計原則(GAAP)の会計・報告基準を設定する組織。GAAP基準の財務報告は、米国の公開市場で取引される企業に義務付けられている。
新たな会計基準では、暗号資産の公正価値(推定市場価値)は各会計期間に測定され、企業の帳簿に記載される。
これにより企業は、保有する暗号資産を公正な価値で計上できるようになった。
これまでの慣習では、暗号資産は無期限の無形資産とみなされるため、減損処理の対象となっていた。ある会計期間に暗号資産の価値が低下した場合は帳簿上の価値が減少することとなり、それまでに保有資産の価値が上昇したとしても、資産を売却するまで計上価値を増加させることはできなかった。これは価格変動が大きい暗号資産市場においては不利なことで、企業の資産価値が市場価値より低く見えるといったデメリットがあった。
FASBは会計基準更新にて「暗号資産が売却されるまでの間、その価値の減少分のみを財務諸表に計上し、増加分を計上しないことは、(1)その資産の基礎となる経済性、(2)企業の財政状態を反映する適切な情報が提供されないことになる」と述べている。
またFASBはこの変更により、より適切な情報が提供され、会計コストと複雑さが軽減されると述べている。
また新基準ではステーブルコインや発行体が作成したトークンと同様に、NFTは除外されている。ラップドトークンも新基準の対象外だ。
なお新基準は、2024年12月15日以降に開始する会計年度から適用される。つまり、決算期が暦年の企業にとっては2025年から適用されるということになる。
今回のFASBの決定は、昨年から始まった検討プロセスを経たものだ。FASBは今年3月に会計基準の変更案に関する意見募集を行い、9月に公正価値で会計処理するルールを全会一致で承認していた。
FASBは昨年10月、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)と、暗号資産の会計処理を含めた国際的な会計基準開発のための会合を行っている。
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参考:FASB
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