米サークル、テロ資金供与とジャスティンサンとの関係否定する書簡を米議員に送る

ジャスティン・サンとの関係否定も

ステーブルコイン発行企業の米サークル(Circle Internet Financial)が、違法な資金調達に関与していない旨を主張する書簡をブログにて共有した。

同書簡はサークルの主張として、同社最高戦略責任者兼公共政策責任者のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)氏が、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員とエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員に宛てたもので、非営利団体の「キャンペーン・フォー・アカウンタビリティ(Campaign for Accountability:CfA)」が11月9日に両議員に送った書簡の内容が「虚偽の主張」だと抗議するものだ。

CfAの書簡では、議員に対し、「暗号資産起業家のジャスティン・サン(Justin Sun)氏、彼のブロックチェーンであるトロン(TRON)、及びサークルがテロ組織の資金調達に果たしている役割にも注意を向けるように」と助言されている。

サークルは書簡にて、CfAの書簡には誤りや省略、誤解を招く情報が数多含まれていると指摘。

サークルは、直接的または間接的に、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマス(またはその他の不正行為者)を助長したり、資金提供を行うことはないと断言した。また同社はジャスティン・サン氏との関係も否定している。

サークルは現在、サン氏をはじめ、トロン財団(TRON Foundation)、フォビグローバル(Huobi Global)を含むサン氏が所有・管理するいかなる事業体の口座も保有していないという。

またサークルは「米政府は現在、サン氏やその団体を特別指定国民として具体的に指定していない」が、「サークルは2023年2月にサン氏とその関連会社が保有するすべての口座を解約した」と述べている。

さらにサークルは、長年にわたり法執行機関と協力してきた実績があると強調。

先月も、いわゆる「豚の食肉解体(pig butchering)」と呼ばれるロマンス詐欺の事例を特定し、資金回収を援助する行いが米シークレットサービスより評価されたとサークルは述べている。

ちなみにこのロマンス詐欺は、デーティングアプリやSNSを通じて標的を定め、長い期間をかけて信頼関係を構築し、暗号資産投資や取引を促すものだ。詐欺により大金を詐取するために長期間接触を行うプロセスが、豚を太らせて最終的に解体処理・出荷する食肉解体業に類似していることに由来して「豚の食肉解体(pig butchering)」と呼ばれている。

サークルはウォーレン議員らに対し、「私たちは同書簡で述べた内容について、あなたやあなたの各スタッフと喜んで議論したい」と述べ、「私たちは、デジタル資産分野における規制の強化及びより一般的なマネー・ロンダリングおよびテロ資金供与との闘い方について、引き続き皆様と協力できることを望んでいる」と述べている。

10月7日より始まったハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃以降、暗号資産関連組織がテロ資金供与の幇助となりうるサービスの提供については各規制機関にて議論が行われている。

10月27日に英ロンドンの王立ユナイテッド・サービス研究所にて講演したウォーリー・アディエモ(Wally Adeyemo)米財務次官は、米国がテロリストへの違法な資金提供を行う一部のデジタル資産企業に対し、テロ資金供与を阻止するための措置を講じなければ「米国および加盟国が行動を起こす」と警告していた。

なおジャスティン・サン氏と同氏関連会社は3月、米証券取引委員会(SEC)より、証券法違反の疑いで告訴されている。

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参考:サークル社CfA
images:iStocks/Максим-Ивасюк・Thinkhubstudio

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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