ODXのPTS取引市場「START」開始日が決定、第1号はいちごの不動産ST、Progmatで発行

ODXの「START」取り扱い第1号はいちごの不動産ST

大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が、セキュリティトークン(ST:デジタル証券)取引に係るPTS(私設取引システム)「START(スタート)」の売買取引開始の予定日を11月20日発表した。

「START」開始予定日は12月25日とのこと。なお同取引市場の取扱い第1号となるのは、いちごの100%連結子会社いちごオーナーズによる3件目のST公募案件となる「いちご・レジデンス・トークン-芝公園・東新宿・都立大学・門前仲町・高井戸・新小岩-(デジタル名義書換方式)」だと同日に発表されている。

なおこのSTは、都心へのアクセスに優れた利便性の高い賃貸住居6物件への投資を予定しており、いちごグループのSTでは過去最大の発行価額になるという。ちなみに発行価額の総額は29億2,500万円で運用期間は約5年2か月となる予定だ。

またこのSTの発行はProgmat(プログマ)社がライセンス提供するデジタルアセット発行・管理基盤「Progmat」が活用されるとのこと。

なお同STの公募および運営にあたりいちごは、三菱UFJ信託銀行、SBI証券と協業を開始している。

大阪デジタルエクスチェンジとは

ODXは、国内初のST流通市場を運営することを目的に2021年4月に設立され、2022年6月には株式のPTS運営を開始していた。

なおPTSとは、投資家が証券取引所を介さずに有価証券を売買できる電子取引システムのことである。国内PTSはODXの他、ジャパンネクスト証券が運営するジャパンネクストPTS(JNX)とCboeジャパン運営のCboe PTSがある。昨年に業務開始したODXは、国内において3か所目のPTSとなっている。

ODXは、SBIホールディングスと三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が共同設立した企業であり、設立後の2021年10月には野村ホールディングスおよび大和証券グループ本社が資本参加もしている。なお出資比率はSBI PTSホールディングス70%、SMBC20%、野村5%、大和証券5%となっている。

Progmatとは

「Progmat」は三菱UFJ信託銀行が開発・推進を行ってきたプラットフォームだ。これまで同行では、セキュリティトークン(デジタル証券)を取り扱う「Progmat ST」基盤、ユーティリティトークンを取り扱う「Progmat UT」基盤、ステーブルコインを取り扱う「Progmat Coin」基盤、及び各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービス「Token Manager」「Token Wallet」の開発を進めてきた。

なお今年10月に「株式会社Progmat」が設立したことにより、これら「Progmat」に関するプログラムや知的財産権等は三菱UFJ信託銀行から新会社へ移管されている。

なお「株式会社Progmat」の持ち株比率は、三菱UFJ信託銀行49.0%、NTTデータ13.5%、みずほ信託銀行7.5%、三井住友信託銀行7.5%、三井住友フィナンシャルグループ7.5%、SBI PTSホールディングス5.0%、JPX総研5.0%、Datachain5.0%となっている。なお三菱UFJ信託銀行の持ち株には、今後の第三者割当余地が含まれているという。ちなみに「株式会社Progmat」の資本金は1億円となる。

セキュリティトークンとは

セキュリティトークンとは、ブロックチェーン等の電子的技術を使用してデジタル化し発行される法令上の有価証券のことを指す(Securities=有価証券)。株や債券などといった有価証券と同等の法規制が適用されるもの。ただし金商法に該当しないセキュリティトークンとして、「不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの」の他に会員権などの「アセットの権利をトークン化したもの」も定義されている。

2020年5月施行の改正金融商品取引法によりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され、金融機関での取り扱いが可能になった。しかし一方で金商法とは別に不動産特定共同事業法(不特法)に基づいたデジタル証券も発行されているのが現状だ。

今年3月に「不動産を裏付けにしたセキュリティトークン」を株式や債券、投資信託と同じく金融商品取引法に基づき金融商品として規制する方針を金融庁が固めたとして報道されている。

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参考:ODXMUFG
images:iStocks/eugenesergeev・Ninja-Studio

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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