破綻した3ACとジェネシスが約50億円で和解へ

11月30日の公聴会で正式審査

昨年7月に破綻した暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドのスリーアローズキャピタル(ThreeAllowsCapital:3AC)と、今年1月に破綻した暗号資産ヘッジファンドのジェネシス・グローバル・ホールドコ(Genesis Global Holdco:GGH)が和解する。11月9日の裁判文書により明らかとなった。

これは3ACがGGHに対し起こした訴訟に関するものであり、米国破産法第11条(チャプター11)に基づく組織再編の一環とみられる。

米ニューヨーク破産裁判所に提出された裁判文書によれば、ジェネシスは3ACに一般無担保請求権として3,300万ドル(約50億円)を支払うことに同意。

一般無担保請求権とは、法律により設定された一般的な債務である。債務者は債権者に対し、指定された金額を支払うことを約束しなければならない。

3ACは当初、10億ドル以上の請求を行っていたが、両社が相互責任を免除することを条件に3,300万ドルの支払いに応じたという。

なお和解案に関する公聴会は11月30日に開かれる予定で、公聴会で正式に審査され、承認されれば和解が決定となる。

3ACは、2020年から2022年にかけて10〜20億ドル超の融資をGGHから受けていたとされる。

デジタルカレンシーグループ(DCG:Digital Currency Group)の一部であるGGHは1月、米ニューヨーク南部地区連邦破産裁判所へチャプター11を申請した。

またGGH子会社の「ジェネシスグローバルキャピタル(Genesis Global Capital LLC)」は今年1月、暗号資産の貸出プログラムを通じて数十万人の投資家に証券を違法に販売したとして、「ジェミナイトラストカンパニー(Gemini Trust Company LLC)」とともに米証券取引委員会(SEC)より起訴されている。

3ACは2022年に破綻した最初の大手暗号資産会社で、同年5月に発生したテラUSD(UST)の価格崩壊によって倒産した。同社は同年6月下旬に英領バージン諸島に破産を申請している。

また3ACの共同創設者の一人であるスー・チュー(Su Zhu)氏は今年9月、シンガポールのチャンギ空港で逮捕され、4カ月間の刑務所で過ごすことになった。

チュー氏には3AC破綻に関する協力捜査命令に従わなかったため、逮捕命令が出ていた。

なおチュー氏の共同創設者であるカイル・デイビス(Kyle Davies)氏にも同様の命令がでている。

関連ニュース

参考:裁判文書
images:iStocks/Aramyan

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【11/15話題】DMM CryptoのSeamoon Protocolが中止、FBIがポリマーケットCEO宅を捜索など(音声ニュース)

DMMのweb3事業「Seamoon Protocol」がプロジェクト中止、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサリアムに展開、FBIが「ポリマーケット」CEO宅を家宅捜索、携帯電話や電子機器を押収、英レボリュート、暗号資産取引プラットフォーム「Revolut X」をEU30カ国に拡大、テザー、幅広い資産のトークン化プラットフォーム「Hadron by Tether」提供開始、コインベースがユートピアラボ買収、「Coinbase Wallet」のオンチェーン決済機能拡充へ、イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ、イーサリアム研究者、コンセンサス層の再設計で「Beam Chain」提案

Sponsored

イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2(L2)スケーリングソリューション「リネア(Linea)」が、同ネットワークをサポートするスイス拠点の非営利団体「リネアアソシエーション(Linea Association)」の設立と、2025年第1四半期にガバナンストークンLINEAの発行予定を11月13日発表した