暗号資産メディアThe Block、シンガポールのVCに過半数の株式売却。SBF氏とのスキャンダル解消へ

評価額は約106億円

米大手暗号資産(仮想通貨)専門メディア「ザ・ブロック(The Block)」が、同社株式の過半数をシンガポールのVC「フォーサイト・ベンチャーズ(Foresight Ventures)」に売却した。各社が11月13日報じた。

アクシオス(Axios)によれば、フォー・サイトベンチャーズは6,000万ドル(約91億円)で「ザ・ブロック」の80%の株式を購入したという。なお「ザ・ブロック」の評価額は7000万ドル(約106億円)だ。

なお「ザ・ブロック」は独立した企業として事業を継続するという。

この株式売却により、「ザ・ブロック」のCEOであるラリー・サーマック(Larry Cermak)氏が同社の第2位の株主となる。フォーサイト・ベンチャーズのCEOであるフォレスト・バイ(Forest Bai)氏が会長に就任し、パートナーのトニー・チェン(Tony Cheng)氏が取締役に就任する。

サーマック氏は自身のXにて、「この買収により、ザ・ブロックは強気市場に先駆けて新たなスタートを切り、エキサイティングな新商品を開発し、アジアや中東に拠点を拡大するための資金を得ることができる」と述べている。

今回の取引により「ザ・ブロック」は、昨年11月に破綻した大手暗号資産取引所FTXとのスキャンダルから脱却することができそうだ。

このスキャンダルとは、「ザ・ブロック」の前CEOのマイケル・マカフリー(Michael McCaffrey)が、FTXの元CEOのサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏から、数百万ドル相当の融資を受けていたことが昨年発覚したものだ。マカフリー氏は同年12月、FTXの関連企業アラメダリサーチ(Alameda Research)からの一連の融資を公表せず、CEOを辞任した。ただ依然マカフリー氏は同社の大株主のままである。

株式売却で得た資本の大半は、マカフリー氏が保有していた株式購入に使用され、残りは支配権の変更条項のために使われたとのこと。

両社は今年4月からこの取引について話し合いを始め、「ザ・ブロック」は取引プロセス運営会社としてモエリス・アンド・カンパニー(Moelis and Co.)を起用したという。

またフォー・サイトベンチャーズは、最初の1年間は「ザ・ブロック」の広告に、非公開の金額を支出することに同意していることだ。

昨年の暗号資産業界は、5月に起きたステーブルコインのテラユーエスディー:TerraUSD(UST)とテラ:Terra(LUNA:ルナ)の暴落やFTXの破綻などの影響で市況の悪化が目立った。

そのあおりを受けた企業としてメディアも例外ではなく、今年1月には米web3メディアのコインデスク(CoinDesk)が、全事業または一部事業について売却を検討していることが報じられた、

またザ・ブロックも3月、従業員の33%近くを解雇したと報じられている。

なおフォーサイト・ベンチャーズは、北京語圏の読者を対象としたブロックテンプ(Block Temp)やフォーサイトニュース(Foresight News)、韓国メディアのコインネス(CoinNess)など、アジアの複数の暗号資産メディアに出資していることでも知られている。

関連ニュース

参考:アクシオス
images:iStocks/ChrisGorgio

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【3/26話題】リップル社がSECへの控訴を撤回、アニメ「七つの大罪」初のNFTがSoneiumでなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

バイナンス、社員のフロントランニング疑惑で内部調査。停職処分報告し、公式内部告発チャンネルで監視強化へ

暗号資産(仮想通貨)取引所大手バイナンス(Binance)のある社員がインサイダー情報を利用してフロントランニング取引を行ったとする告発を受け、同取引所の内部監査チームが、この件について調査を実施したことを3月23日に報告した

米シーボーBZX取引所、フィデリティの「ソラナ(SOL)現物ETF」をSECへ申請

米証券取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)が、米大手資産運用会社フィデリティ(Fidelity)が運営する「フィデリティ・ソラナ・ファンド(Fidelity Solana Fund)」の上場および取引開始に向け、3月25日付で米証券取引委員会(SEC)に提案書を提出した。同ETFは、暗号資産ソラナ(SOL)の現物価格に基づく投資信託となる

CME、資産のトークン化テストにグーグルクラウドの分散型台帳「GCUL」採用

北米最大の金融・商品デリバティブ取引所であるCME(シカゴマーカンタイル取引所)を運営するCMEグループ(CME Group)が、グーグルクラウド(Google Cloud)の新しい分散型台帳である「グーグル・クラウド・ユニバーサル・レジャー(Google Cloud Universal Ledger:GCUL)」を使用したトークン化技術を導入すると3月25日発表した