プログマコインで暗号資産業者の決済用ステーブルコイン発行へ
Ginco(ギンコ)、三菱UFJ信託銀行、Progmat(プログマ)の3社が、暗号資産(仮想通貨)交換業者間における資金決済向上を目的としたステーブルコインの発行に向けた共同検討の開始を11月6日発表した。
同ステーブルコイン(SC)は、日本法に準拠したステーブルコイン発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」基盤を活用し、発行を検討するという。なお発行検討するのは、円貨建ての「XJPY」と米ドル建ての「XUSD」の2銘柄のSCだ。発表によると2024年夏頃を目指すという。
この2銘柄のSCは、暗号資産業界におけるクロスボーダー取引の決済効率向上を目指した「暗号資産業界横断ステーブルコイン」とのこと。日本の事業者を含む暗号資産市場における、数千億円に及ぶ現取引業務をSCに置き換えることで、暗号資産関連業者間取引の課題の解決と、資金決済効率向上による暗号資産市場の高度化へ寄与することが同SC発行の目的だという。
プログマの代表/Founder&CEOである齊藤達哉氏のnoteによると資金決済の対象取引は、「国内外の暗号資産関連業者が行う取引=自己勘定(自らの資金)での暗号資産売買取引」であると説明されている。
そのため「XJPY」および「XUSD」の想定利用者は、暗号資産取引や海外送金等を行う個人ではなく、国内および海外の暗号資産関連業者(法人)であることがポイントだ。
なお同ステーブルコインを利用検討する暗号資産関連業者として、海外最大手の暗号資産リクイディティ・プロバイダー(LP)であるCumberland Global(カンバーランド・グローバル)や国内暗号資産交換業者であるビットバンクとメルコインが先行して参画することも今回発表されている。
ちなみに同ステーブルコインの信託委託者(ビジネスオーナー)となるのがGincoである。同社提供の「Ginco Enterprise Wallet(GEW)」は、暗号資産交換業者など金融機関が利用する業務用暗号資産ウォレットであり、国内トップの導入シェアを誇っている。
今回のGincoによるステーブルコイン発行の企画は、「XJPY」や「XUSD」を用いた業者間決済を行うためのインターフェイスとして、既存の「GEW」のインターフェイスを有効活用し、シームレスな新たな決済取引への移行を企図したものであるとのことだ。
ちなみに「Progmat Coin」を用いたステーブルコイン発行として、今年9月に三菱UFJ信託銀行とBinance Japan(バイナンスジャパン)が、新たなステーブルコイン発行に向けた共同検討を開始している。同ステーブルコインの裏付け通貨は、円貨建てと外貨建ての双方が対象だ。
なお同ステーブルコインの発行依頼者(委託者)および取扱仲介者はバイナンスジャパン、発行者(受託者)は三菱UFJ信託銀行となる。また裏付資産(預金)運用先は任意の金融機関となり、ステーブルコインが発行されるブロックチェーンについてはイーサリアム(Ethereum)の他、BNBチェーンなど複数のチェーンへ拡張が想定されているとのことだ。