ワールドコインがトークン戦略を調整
暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」を主導するワールドコイン財団(Worldcoin Foundation)が、同プロジェクト発行のトークン「Worldcoin(WLD)」の供給戦略を変更するため、オーブ(Orb)のオペレーターに対する報酬やマーケットメーカーと行っていた融資契約の内容を更新したことを10月22日に発表した。
オーブは、虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別するデジタルID「World ID」を発行するためのボール状のデバイス。同デバイスにより「World ID」を発行することで、「ワールドコイン」関連企業のツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH:Tools For Humanity)作成のウォレットアプリケーション「World App」で「WLD」が受け取れる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカム実現も計画されているという。
これまで「ワールドコイン」では、このオーブをオペレーターとして運用し、人々の「World ID」発行をサポートした人に対して米ドルステーブルコイン「USDC」を用いて報酬を支払っていた。
また以前にワールドコイン財団の子会社「ワールドアセット(World Assets)」は、米国外の中央集権型取引所(CeFi)で取引される「WLD」の流動性を確保し価格の安定性を高めるため、米国外の5つのマーケットメーカーと融資契約を締結していた。これにより5つのマーケットメーカーは合計1億WLDの融資を受けていたが、その融資の期限は10月24日に切れる予定であった。
今回「ワールドアセット」はこの融資契約を更新し、融資契約の期限を12月15日まで延長。融資額の合計を2500万WLD減額したという。これにより融資を受けているマーケットメーカーは、2500万WLDを返還するか買い取ることになるとのことだ。
ワールドコイン財団は、現在トークンの供給戦略としてエコシステムでのマーケットメーカーの影響を軽減し、広くユーザーに供給することで、ネットワークの参加者により良い報酬を与えることを目指している。
今回行われた報酬及び契約内容の更新もこのためであると考えられている。
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参考:ワールドコイン財団ブログ
デザイン:一本寿和
images:Reuters