GMOあおぞら、デジタル通貨「DCJPY」発行と24年7月サービス開始予定を正式発表

GMOあおぞらネット銀行がデジタル通貨発行へ

GMOあおぞらネット銀行が、2024年7月にデジタル通貨「DCJPY(仮称)」を発行する予定であることを10月12日正式に発表した。

「DCJPY」は日本円の銀行預金を裏付けとし、パーミッション型のブロックチェーン技術が活用されているデジタル通貨。100社超の企業・銀行・自治体・団体が参加する企業連合「デジタル通貨フォーラム」が取り組んでいる。

発表によると今回の取り組みは、GMOあおぞら発行の「DCJPY」を使い、インターネットイニシアティブ(IIJ)が行う環境価値(非化石証書等)取引のデジタルアセット化と、「DCJPY」による取引・決済を行うという。24年7月に開始を目指し、これについてGMOあおぞらとIIJ、そしてDCJPYネットワークを提供するディーカレットDCPの3社が合意したとのこと。

なおこの取り組みは、DCJPYネットワーク活用の商用サービス第1弾になるとのことだ。

「DCJPY」によるサービスの詳細について

今回の取り組みとして、まずIIJが一般社団法人日本卸電力取引所の非化石価値取引会員に加入し、2023年10月から非化石証書を代理調達するサービスを提供開始するという。

そして24年7月に同サービスにおいてDCJPYネットワークを活用し、環境価値をデジタルトークン化したうえでデジタル通貨を利用しての決済を開始するとのこと。

この環境価値取引はブロックチェーン上で管理され、それと連動した効率的なデジタル通貨決済サービスをGMOあおぞらネット銀行が提供する仕組みとのことだ。

発表によると現在の日本における環境価値取引は、一般的に非化石証書等のアナログ証書発行や中央集中型システムでの取引情報管理等の対応があるという。しかしDCJPYネットワークでは、環境価値をデジタルアセットとして発行・移転等が可能となり、デジタル通貨とスマートコントラクトによるプログラム取引で自動決済が行えるとのこと。

また将来的には、電力小売業者や発電事業者、環境価値の取引所等にも参加をしてもらい、環境価値取引の一連の流れをブロックチェーン上で流通させることも推進していくとのことだ。

なお「DCJPY」は、ステーブルコインとは異なり、銀行預金をブロックチェーン上でデジタル通貨にしている。そのためディーカレットDCPが電子決済等代行業者であるため、企業は決済関連の金融ライセンスの取得や登録をせずに「DCJPY」の送金が可能とのこと。

また「DCJPY」は銀行で管理・保管しているため、企業間で行われる大口決済にも利用可能とのことだ。

さらにDCJPYネットワークでは、環境価値トークンに限らず、NFTやセキュリティトークン等領域ごとにプログラムを実装できるため、各企業や団体のニーズに沿ったサービスを提供することで、ブロックチェーンを活用した幅広いビジネスがサポートできるとのことだ。

「DCJPY」について

2021年11月に公開されたホワイトペーパー(10/12新WP公開)によると「DCJPY」は民間銀行が債務として発行することを当面前提としており、かかる債務は「預金」と位置付けられることを想定しているという。

また発行される「DCJPY」の単位は1円が最小単位となるようだ。単位未満の資金決済のニーズがある場合の取扱いについては引き続き検討するとのこと。また「DCJYP」は決済用預金に属する性質のものであり、付利は行われず、全額預金保険の保護対象となる想定とのことだ。

また「DCJPY」には「二層構造」の特性がある。「DCJPY」を発行・送金・償却するために「共通領域」と「付加領域」が設けられており、これらを連携させる仕組みには、ディーカレットが提供する「二層構造デジタル通貨プラットフォーム」が用いられている。

「共通領域」では「DCJPY」の残高を記録する元帳の管理、およびそれらに付随する業務を行うための機能や、民間銀行がデジタル通貨を発行するにあたり各銀行のシステムと連携するための仕組みなどが提供される。

パーミッション型ブロックチェーンによって構成されており、また相互運用性(インターオペラビリティ)の確保もされており、他のブロックチェーンとの間でデータのやり取りを行うことも可能であるとのことだ。

「付加領域」ではビジネスニーズに応じて事業者がスマートコントラクトを開発し導入することができるという。既存のシステムとデジタル通貨プラットフォームを連携させることができ、支払決済と物流・商流などとのリンク、モノやサービスと資金との同時受け渡しDvP(Delivery versus Payment)などが可能となり、また独自トークンの発行もできるとのことだ。

なおディーカレットDCPは、新たに「DCJPY ホワイトペーパー 2023」を10月12日に発行する予定であることが発表されている。

関連ニュース

参考:ディーカレットDCP
デザイン:一本寿和
images:iStocks/RomoloTavani・ablokhin

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【11/15話題】DMM CryptoのSeamoon Protocolが中止、FBIがポリマーケットCEO宅を捜索など(音声ニュース)

DMMのweb3事業「Seamoon Protocol」がプロジェクト中止、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサリアムに展開、FBIが「ポリマーケット」CEO宅を家宅捜索、携帯電話や電子機器を押収、英レボリュート、暗号資産取引プラットフォーム「Revolut X」をEU30カ国に拡大、テザー、幅広い資産のトークン化プラットフォーム「Hadron by Tether」提供開始、コインベースがユートピアラボ買収、「Coinbase Wallet」のオンチェーン決済機能拡充へ、イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ、イーサリアム研究者、コンセンサス層の再設計で「Beam Chain」提案

Sponsored

イーサL2「リネア」、ガバナンス分散化に向け非営利団体を設立、LINEA発行へ

イーサリアム(Ethereum)レイヤー2(L2)スケーリングソリューション「リネア(Linea)」が、同ネットワークをサポートするスイス拠点の非営利団体「リネアアソシエーション(Linea Association)」の設立と、2025年第1四半期にガバナンストークンLINEAの発行予定を11月13日発表した