GMOあおぞらが24年夏にデジタル通貨発行か=報道
GMOあおぞらネット銀行が、2024年7月に円建てデジタル通貨「DCJPY」を発行すると日経新聞が10月11日報じた。
「DCJPY」は日本円の銀行預金を裏付けとし、パーミッション型のブロックチェーン技術が活用されているデジタル通貨。100社超の企業・銀行・自治体・団体が参加する企業連合「デジタル通貨フォーラム」が取り組んでいる。
なお「デジタル通貨フォーラム」はデジタル通貨事業を行うディーカレットDCPが事務局を務め、3メガバンク・NTTグループ・KDDIらが立ち上げた。現在では xID(クロスアイディー)、Securitize Japan(セキュリタイズジャパン)、HashPort(ハッシュポート)、BOOSTRY(ブーストリー)といったブロックチェーン関連企業や、オブザーバーとして金融庁、総務省、財務省、経済産業省、日本銀行が参加している。またフォーラム内に設置された10の各分科会によって「DCJPY」のPoCを見据えたユースケースの検討が行われている。
今回の日経新聞の報道によると、GMOあおぞら銀行の「DCJPY」発行は「デジタル通貨フォーラム」が手掛ける事業の第1弾とのこと。再生可能エネルギーで発電したことを示す証書の取引・決済で導入し、電力料金の支払いなど企業間決済の応用を見込むと報じられた。
この報道について翌日12日、GMOあおぞらネット銀行は「一部誤認を生じる記載がある」と表明。今後の正式発表を待つよう、アナウンスを行っている。
「DCJPY」の再エネ決済活用の実証実験
なお「デジタル通貨フォーラム」は今年2月、ブロックチェーンでの再生可能エネルギーの取引で発生する決済においての「DCJPY」活用や、「DCJPY」での貸付「サスティナビリティ・リンク・ローン」を行うファイナンスサービスの実証実験を開始すると発表していた。
この実証実験は、再生可能エネルギーの取引データや発電所のスコアリングレポートを活用し、再生可能エネルギーの利用実績に応じて企業の融資優遇を行うことで、環境に配慮された発電所の再生可能エネルギーの利用および企業自らの主体的な脱炭素行動を促進することが目的とのことだった。
なおこの実証実験への参加団体は「デジタル通貨フォーラム」の電力取引分科会 サブグループBに所属するディーカレット(事務局)、エナリス(幹事)、東京都、三井住友銀行の4社。取引データの管理にはエナリスが開発した電力取引プラットフォーム(ブロックチェーン)が利用され、各取引における決済にはディーカレット発行のデジタル通貨「DCJPY」が利用されると発表されていた。
「DCJPY」について
ホワイトペーパーによると「DCJPY」は民間銀行が債務として発行することを当面前提としており、かかる債務は「預金」と位置付けられることを想定しているという。
また発行される「DCJPY」の単位は1円が最小単位となるようだ。単位未満の資金決済のニーズがある場合の取扱いについては引き続き検討するとのこと。また「DCJYP」は決済用預金に属する性質のものであり、付利は行われず、全額預金保険の保護対象となる想定とのことだ。
また「DCJPY」には「二層構造」の特性がある。「DCJPY」を発行・送金・償却するために「共通領域」と「付加領域」が設けられており、これらを連携させる仕組みには、ディーカレットが提供する「二層構造デジタル通貨プラットフォーム」が用いられている。
なお同プラットフォームは昨年6月に特許登録されており、また昨年12月には同プラットフォームに付随する「二層構造デジタル通貨の価値移転システム」が特許登録されている。
「DCJPY」における「二層構造」の「共通領域」では「DCJPY」の残高を記録する元帳の管理、およびそれらに付随する業務を行うための機能や、民間銀行がデジタル通貨を発行するにあたり各銀行のシステムと連携するための仕組みなどが提供される。
パーミッション型ブロックチェーンによって構成されており、また相互運用性(インターオペラビリティ)の確保もされており、他のブロックチェーンとの間でデータのやり取りを行うことも可能であるとのことだ。
また「付加領域」ではビジネスニーズに応じて事業者がスマートコントラクトを開発し導入することができるという。既存のシステムとデジタル通貨プラットフォームを連携させることができ、支払決済と物流・商流などとのリンク、モノやサービスと資金との同時受け渡しDvP(Delivery versus Payment)などが可能となり、また独自トークンの発行もできるとのことだ。