国内企業8社が「DID/VC共創コンソーシアム」設立
国内企業8社にて、分散型ID(DID)と連携したデジタル証明書(VC)のビジネス共創を目指すビジネスコンソーシアム「DID/VC共創コンソーシアム(Decentralized Identifier / Verifiable Credential Co-Creation Consortium、略称:DVCC)」が、10月10日設立された。
同コンソーシアムを共同設立した三菱UFJ信託銀行、NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、TOPPANデジタル、博報堂キースリー、日立製作所、富士通、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の会員企業8社が、連名で同日に発表している。
なおDIDは、ブロックチェーンなどの分散型技術の利用により自身で個人のアイデンティティを管理するIDのこと。またVCは、検証可能なデジタル証明書のことだ。
発表によると「DVCC」では、DIDとVCの社会実装と普及を促進する相互運用ルールを整備し、社会課題の解決による社会貢献や本技術を活用したビジネス共創に取り組んでいくとのこと。
なお具体的に「DVCC」の主な活動として、「ビジネス共創」・「相互運用に向けたルール整備」・「資源の共通利用」・「国・省庁など外部との情報連携」の4つが挙げられている。
「ビジネス共創」では、ユースケースのシェアや共同検討を行う他、実証実験や事業を共同推進していくとのこと。
また「相互運用に向けたルール整備」では、コンソーシアム参加企業間で一定の相互運用性を確保するため、主にビジネスに関するルールを整備していくという。
「資源の共通利用」では、効率性などの観点から、必要に応じて、同コンソーシアム参加企業間でシステムや基盤などを共通利用していくとしている。またコンソーシアム内での情報共有も検討してくとのこと。例えば、有効なVCを正確に判別するために、VCが有効であるか否かを確認するリストをコンソーシアム内で共有していくことが必要になる可能性があるとのことだ。
そして「国・省庁など外部との情報連携」では、「DVCC」があくまで有志の検討会であり、検討したルール等を外部に適用するものであるため、必要に応じて国・省庁などと適宜情報共有、連携していくとのことだ。
まず会員企業8社は、共同で「ルール整備分科会」での協議を優先して進めるという。相互運用性の確保に向けて、優先度の高い汎用的な検討事項を協議していくとしている。
また「DVCC」では並行して複数の事業会社の参加を調整し、「ビジネス共創分科会」を今後立ち上げるという。「ルール整備分科会」での議論も踏まえて、特定のユースケースを想定したより具体的な協議を進めていくとのことだ。
またDID/VCの技術仕様としての標準化については、W3C・IETF・OIDFなどで現在もグローバルで進められているため、「DVCC」においても適宜その整理に沿う形で検討を進めていくとのこと。ただし本コンソーシアムは、あくまで日本のビジネスシーンへの適応を優先して目指すものになるとのことだ。
ちなみにW3CはWorld Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進するために設立された標準化団体。IETFはインターネットの機能改善を目指す標準化団体。そしてOIDFはインターネット上のアイデンティティ層およびAPIアクセス管理に関わる技術の標準化を行う米国の非営利の国際標準化団体だ。
なお発表によるとDIDおよびVCは、個人が自身に関する情報を自分で管理するという秘匿性、改ざん耐性やトレーサビリティという安全性、一度証明された情報を個人が持ち歩いて利用できる利便性、これらを担保し、安心安全で便利な認証や証明を実現する手段の1つとして考えられているとのこと。このような機能からDIDおよびVCはグローバルで期待が高まる一方で、社会的な普及が課題となっているとのことだ。
DIDに関する国内企業の取り組みとして、今年3月に大日本印刷(DNP)と三菱UFJ銀行がDIDに関する技術および事業化の検証を目的とする基本合意書を締結している。
両社はこれにより、自己主権型のデジタル証明書(Verifiable Credentials:VC)の発行や分散型識別子(Decentralized Identifiers:DID)に係る技術のセキュリティ課題やユーザビリティを検証し、これらを活用するビジネスの事業化検証を進めるとしていた。
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参考:富士通
デザイン:一本寿和
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