ブエノスアイレス、ブロックチェーンベースのデジタルID発行へ

身分証明やゆくゆくは決済も

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、市民にデジタルIDサービスを提供する計画があるようだ。「zkSync(ジーケーシンク)」を開発する「マター・ラボ(Matter Labs)」の「zkシンクエラ」公式X(旧Twitter)が9月28日発表した。

発表によれば、ブエノスアイレスはブロックチェーンベースのIDを活用することで、市民が自身の身分を証明したり、決済処理等ができるインフラの構築を目指すという。

これに伴い、ブエノスアイレスは「QuarkID」と呼ばれるIDを活用する予定だ。

「QuarkID」は、アルゼンチン拠点の分散型ID提供企業であるエクストリミアン(Extrimian)によって構築されたオープンソースのデジタルIDプロトコルとのこと。

この分散型デジタルIDプロトコルは、「zkシンクエラ」ロールアップ上に構築されたアプリケーションを使用している。

なお「zkシンクエラ」は、「zkSync2.0(ジーケーシンク2.0)」として以前に開発されていたイーサリアムL2ネットワークだ。ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)活用の「ZK Rollup(ジーケーロールアップ)」採用により、レイヤー1であるイーサリアムのスケーリング向上とセキュリティ設計を継承している。

エクストリミアンのCEOであるギジェルモ・ビジャヌエバ(Guillermo Villanueva)氏は、「これは、ラテンアメリカの政府サービスにとって、より安全で効率的な未来に向けた記念碑的な一歩だ。QuarkIDは、ラテンアメリカにデジタルIDの慣行とセキュリティ基準をもたらすと同時に、政府と市民の間により緊密な関係を築く」とコメントしている。

また「QuarkID」ウォレットに保存されるデータは自己署名されるため、市民は行政サービスとやり取りする際にクレデンシャル(ユーザ等の認証に用いられる情報の総称)の受け渡しを管理することができるという。「zkシンクエラ」はQuarkIDの決済レイヤーとして機能し、参加する各市民が正しいクレデンシャルを所有していることを保証する働きを担うとのことだ。

10月からは「QuarkID」ウォレットが利用可能に

またブエノスアイレス市民は10月から「QuarkID」ウォレットを利用できるようになるという。

同ウォレットをダウンロードすることで、出生証明書や結婚証明書などの個人識別書類を請求することが可能となるという。

なお、「QuarkID」はすべてのアルゼンチン国民が利用できるようになる見込みで、順次アルゼンチン全土で利用が義務付けられる予定とのことだ。

また地方政府は今後数ヶ月の間に、「QuarkID」上でより多くの公的身分証明書を展開する予定だという。11月には、収入証明書、学業成績証明書、給付金請求書類も「QuarkID」ウォレットにダウンロードし、保存できるようになる。

また2023年末には、政府はQuarkIDの将来的なロードマップを策定し、250万人以上の国民にサービスを提供するための拡張マイルストーンの概要を説明する予定とのことだ。

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参考:発表
デザイン:一本寿和
images:iStocks/iLexx

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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