【取材】Arbitrum Japanが日本市場で展開開始、フラクトンがアービトラム財団と提携で

Arbitrum Japanが日本市場で展開開始

国内拠点でweb3インキュベーションプログラム等を提供するFracton Ventures(フラクトンベンチャーズ)が、Arbitrum Foundation(アービトラム財団)との戦略的事業提携を9月29日正式に発表した。

アービトラム財団は、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラム」の支援活動を行う団体だ。

今回の提携により、フラクトンベンチャーズは日本において「Arbitrum Japan(アービトラムジャパン)」を展開開始するという。

同社は「アービトラムジャパン」の活動により、日本におけるアービトラムエコシステムの迅速な展開と、そのコミュニティ形成を促進すると共に、日本国内でのブロックチェーン技術の普及と成熟をさらに推進するとのことだ。

発表によると今回の提携によりフラクトンベンチャーズは、日系企業や行政向けにアービトラムのスケーラビリティとセキュリティー機能を活かした新規事業の開発が可能になるという。

これにより同社は「アービトラムジャパン」を通じて、日本市場でのアービトラムエコシステムの成長を促進するとともに、金融・エンターテインメントなど、日本独自のIPやアセットを活用した事業展開をサポートしていくとし、Web2/Web3企業との協業を含め、多様な分野でのビジネス開発を目指すとのことだ。

また上記のような戦略的事業開発とエコシステム構築の他、アービトラム財団とフラクトンベンチャーズは技術的教育コンテンツの拡充に注力し、日本の開発者コミュニティを増強する方針だという。

この教育とコミュニティ支援により、アービトラムエコシステムにおけるテクノロジーの理解と採用を促進する狙いのようだ。

その他にもAMA(Ask Me Anything)セッションやハッカソンの開催を通じた、コミュニティの活性化とスキル向上や、大学生アンバサダーの活動強化、コミュニティマネージャーの採用も計画しているとのことだ。

アービトラム財団 エコシステム開発責任者 ニナ・ロン氏のコメント

「あたらしい経済」編集部は、アービトラム財団エコシステム開発の責任者であるニナ・ロン(Nina Rong)氏へ「(Q1)アービトラム財団が日本市場をどのようにみているのか」、「(Q2)日本市場に期待すること」について取材し、以下のコメントを得た。

(A1)私たちは日本市場がどれほど活気に満ちているかを見るのが楽しみです。特に、暗号通貨に関する最新の政策変更により、多くのクリエイターや開発者がより簡単に市場で革新を起こすことができるようになったことは注目に値します。私は、日本がクリエイティブなハブとしての大きな可能性を秘めていると感じています。

(A2)私たちは日本のweb3開発者コミュニティと、地域のミートアップやハッカソンを増やして繋がっていくことを期待しています。さらに、過去数ヶ月間で多くの日本企業からコラボレーションの意向の問い合わせを受けています。 フラクトンの日本市場における専門知識と我々のリソースを組み合わせることで、これらのパートナーへのサポートをさらに充実させることができると期待しています。

アービトラム(Arbitrum)とは?

「アービトラム」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション。同ネットワークでは、「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」を採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現している。

「ロールアップ」とは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のこと。「オプティミスティックロールアップ」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという楽観的(オプティミスティック)な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。

なおアービトラムでは、「アービトラムワン(Arbitrum One)」および「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」の2つのネットワークを展開している。

「アービトラムワン」はアービトラムのパブリックなメインネットであり、誰でもバリデーターとなることができる仕組みとなっている。一方で「アービトラムノヴァ」は選定されたバリデーターのみが参加する許可型のメインネットとなっており、厳密な分散性を達成することはできないが、その分低い手数料での利用を可能にしている。

そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。

なお「アービトラム」の独自トークンである「ARB」は、今年3月23日に発行が開始されている。「ARB」はDAOコミュニティのガバナンストークンとして機能するが、「アービトラム」のネイティブのガス代(取引手数料)は同ネットワーク上のイーサリアム(ETH)が採用されている。 ・またイーサリアムのセキュリティを完全に引き継ぐネットワークとして「アービトラム」は1.73Bドル(約2,556億円)のTVL(総預かり資産)を誇り、イーサリアムレイヤー2としては最大のネットワークとなっている(9/20 Defillama参照)。

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デザイン:一本寿和
images:iStocks/Abscent84・rarrarorro

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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