上場目指す企業への監視強める
米ニューヨーク州の規制当局は、同州での暗号資産(仮想通貨)上場を目指す企業に対して監視を強化するようだ。ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が9月18日発表した。
発表では、暗号資産の上場もしくは上場廃止の手続きに関する強化された基準の採用と、暗号資産を州の「グリーンリスト」へ追加する際のガイダンス案が提案された。
なお「グリーンリスト」とは、暗号資産ビジネスを行うことが認可された事業体が、取り扱うことができる暗号資産のリストを指す。
NYDFSのエイドリアン・ハリス(Adrienne Harris)長官は「(私が)DFSに加わって以来、消費者と市場を保護するため、DFSの規制・運営能力を業界の発展に遅れないようにすることを優先してきた」と述べている。
NYDFSはビットライセンス(BitLicense)制度を制定するなどして、暗号資産規制に積極的に取り組んできた。
なおビットライセンスとは事業者がNY州の居住者へ暗号資産関連のサービスを提供する為にNYDFSが2015年に制定した免許の通称である。ビットライセンスの取得には一定の要件を満たす必要があり、申請には最大10万ドル(約1,000万円)の費用が必要となる。
発表されたガイダンス案について
今回NYDFSが暗号資産事業者へ向けて提案したのは、「暗号資産上場ポリシーのリスク評価基準の強化」と、それによる「消費者向けリテール事業に対する要件の強化」だ。
暗号資産事業者はこのガイダンス案に準拠した暗号資産上場廃止方針を策定し、NYDFSに提出の上、承認を得なくてはならない。
なお提案されているガイドライン案では、規制当局が暗号資産の上場方針を書面で承認するまで、暗号資産事業体は暗号資産の上場はできないとのことだ。
また、ガイダンス案に対する意見は2023年10月20日まで受け付けられている。
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参考:ニューヨーク州金融サービス局
デザイン:一本寿和
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