ArbitrumがStylusのテストネット公開を発表
イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラム(Arbitrum)」用のプログラミング実行環境「スタイラス(Stylus)」のテストネットが公開された。同ネットワークをを開発するオフチェーンラボ(Offchain Labs)が、8月31日に発表した。
「スタイラス」は、ウェブアセンブリ(WebAssembly:WASM)にコンパイル(変換)可能な一般的なプログラミング言語(RustやC、C++など)で記述されたスマートコントラクトが実行可能なプログラミング環境のこと。
同環境により開発者のweb3領域への参入障壁を下げることができ、より多くの開発者の獲得につながると考えられる。
なおWASM(ワズム)は、多くのプログラミング言語から変換可能なコード、またはそのコードを実行可能な仮想マシンのことである。WASMは、ディズニープラス(Disney+)やアマゾンプライムビデオ(Amazon Prime Video)、グーグルアース(Google Earth)など多くのサービスの開発に利用されている。
今回公開されたテストネットでは、既にRustなどを利用した分散型アプリケーション(Dapps)の構築が可能となっている。「スタイラス」での開発をサポートするSDK(ソフトウェアディベロップメントキット)が提供されており、また同時にGithub(ギットハブ)にて「スタイラス」のコードが公開されている。
処理の速いRustなどの言語で書かれたDapps(分散型アプリケーション)は、従来のスマートコントラクト開発言語のSolidityで書かれたコントラクトに比べ、10倍以上の速さで動作する。そのため「スタイラス」では開発者の参入障壁を下げるだけでなく、高速で動作するDappsの構築が可能になるというわけだ。
なおこの実行環境は、アービトラムのフラッグシップネットワーク「アービトラムワン(Arbitrum One)」だけでなく、ゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーン「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」にも実装されるとのことだ。
なお現在アービトラムでは、EVM(イーサリアムバーチャルマシン)等価性のある実行環境を実装している。そのためイーサリアムの実行環境と完全に同等であり、イーサリアムで実行可能なコードがアービトラムではそのまま実行可能だ。
そして「スタイラス」の実行環境は、現在のアービトラムによるEVM等価性のある実行環境を増強する形で利用されるとのこと。
具体的には、EVMの部分はこれまで通り稼働し、WASMの処理が必要な部分のみ「スタイラス」が計算を行う形になるという。
このように、すでにあるEVMの環境に対して加算的に増強した環境をオフチェーンラボは「EVM+」と命名している。
なお「スタイラス」ではEVM環境かWASM環境のどちらかを選んでコードをネットワークにデプロイできるとのことだ。
オフチェーンラボは9月22~24日に米ニューヨークで開催される「ETHGlobal NY」で、2万ドルの報奨金付きの「スタイラス」のハッカソンを開催することも発表している。
Today is Arbitrum Day
— Offchain Labs (@OffchainLabs) August 31, 2023
Last year we took one giant leap with the launch of Arbitrum Nitro.
Today we’re excited to announce that we are taking another big leap with the release of the code and public testnet for Arbitrum Stylus. 🖊👇https://t.co/NaxOuir5WH
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参考:オフチェーンラボブログ
デザイン:一本寿和
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