三菱UFJ信託が「暗号資産信託」提供に向けGincoと協業
三菱UFJ信託銀行とGinco(ギンコ)が、信託銀行本体としては初となる「暗号資産信託」提供に向けての協業開始を8月31日発表した。
発表によると「暗号資産信託」提供は、2023年度中の商用化を目標としているとのこと。
この協業により両社は、「トークン発行体にとって適切な税制の適用」と「機関投資家によるトークン投資が可能なスキームの実現」を図るとのこと。「暗号資産信託」の提供は、日本がトークン(暗号資産)発行市場として健全かつ魅力的な環境となることを目的とするという。
この協業による三菱UFJ信託銀行の役割は、「暗号資産信託のスキーム開発」と「暗号資産信託における受託者としての信託業務提供」、そして「信託対象トークン(暗号資産)のカストディ(秘密鍵管理等)」であるという。
またGincoでは、同社の業務用暗号資産ウォレット「Ginco Enterprise Wallet」の機能提供の他、パブリックブロックチェーン上のトークン(暗号資産)管理に必要な技術知見を提供するとのことだ。
「暗号資産信託」の提供スキーム
「暗号資産信託」の提供スキームとしては「 トークン発行体用暗号資産信託(川上信託)」と「機関投資家用暗号資産信託(川下信託)」の2つを想定しているとのこと。なお受託者は共に三菱UFJ信託銀行となる。
「 トークン発行体用暗号資産信託(川上信託)」では、委託者および受益者をトークン発行体とし、信託財産を「トークン発行体が新たに発行し自ら保有するトークン(暗号資産)」とする。これによりトークン発行体は、自社保有期間中に期末時価評価対象外の適用を受けつつ、川下信託へ円滑に移行できることで、機関投資家を誘引できるとのこと。
また「機関投資家用暗号資産信託(川下信託)」では、委託者をトークン発行体、受益者を「トークン投資を行い権利が確定した機関投資家」とし、信託財産を「機関投資家に帰属する、ベスティング(権利確定)後のトークン(暗号資産)」とするという。
これにより機関投資家は、トークン(暗号資産)を直接保有・管理せず、投資可能になるとのことだ。これについては、投資事業有限責任組合の投資対象は、「株式、新株予約権、社債、貸付債権、匿名組合出資、工業的所有権、投資事業有限責任組合出資等」と定義され、信託受益権ではなく暗号資産そのものを主な投資対象とすることは出来ないと考えられるためであるとのこと。
なお今後についてはIVC(Infinity Ventures Crypto)、MTG Ventures、Ginco、The SEED、新生企業投資、D4V(Design for Ventures)、B Dash Ventures、フィナンシェ(暗号資産「FNCT」発行体)、Headline Asiaの9社が同スキームの共同検討に参加するとのこと。
三菱UFJ信託銀行は事務局として、この共同検討参加者らと必要な関係当局との手続完了及び対象となるトークンのベスティング(権利確定)に合わせた同スキームの社会実装を目指すとのことだ。
三菱UFJ信託銀行の直近の動き
三菱UFJ信託銀行は8月10日、NTTデータと提携し「デジタル社債向け標準化インフラ」の構築を進めると発表した。三菱UFJ信託銀行開発のデジタルアセット全般の発行・管理基盤「Progmat(プログマ)」と国内で圧倒的なシェアを誇るNTTデータグループの社債管理基盤「B-Apps Online」のデジタル社債管理向け機能「DBM(仮)」を連携させ、同インフラの構築を進めるという。
また三菱UFJ信託銀行は、Datachain(データチェーン)、TOKI(トキ)と技術連携し、マルチチェーンで展開されるステーブルコインのクロスチェーン取引を可能にするインフラ構築を目指すと6月20日に発表している。
三菱UFJ信託銀行が推進するステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」によって発行される予定のステーブルコインが、様々なパブリックブロックチェーン上で発行・流通されることを想定して、3社はインフラ構築を行うとした。
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参考:三菱UFJ信託銀行
デザイン:一本寿和
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