イングランド銀行が主導か
英財務省が、システミック(全体的)なステーブルコインの規制体制に関する提案を更新し、コンサルテーションペーパーを8月8日公開した。
英財務省によれば「このコンサルテーションペーパーでは、ステーブルコインに関する2022年のコンサルテーションペーパーにて政府が別途提案していたように、システム上重要なデジタル決済資産であるシステミックなステーブルコイン共同監督に向け意図したアプローチを拡大することを提案している」と述べている。
コンサルテーションペーパーでは、システミックなステーブルコインは、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BoE)が主導し、金融行動監視機構(FCA)によって監督されるとしており、これを回答者らは歓迎している。
なお同コンサルテーションペーパーへの回答者は、米決済大手アメリカンエクスプレス(American Express)、米ドルペッグのステーブルコインを発行するサークル(Circle)、英国大手銀行HSBC UK、米決済大手ペイパル(PayPal)、米決済大手ビザヨーロッパ(VISA Europe)らだ。
コンサルテーションペーパによれば、規制当局は覚書にて、協力に関する取り組みを明確に定義し、規制の枠組みで各機関が果たす明確な役割を詳述する必要があるという。
またイングランド銀行には、システミックと認識される事業体に関してFCAが行動を起こすことを阻止する権限が与えられるとのこと。
なおFCAの行動が金融の安定に関わる懸念を引き起こした場合には、英健全性規制機構(PRA)が介入する可能性があるとのことだ。
英国のステーブルコイン関連法案について
英国はEUからの離脱に伴い、EUの金融サービス法を英国の法律に置き換える計画を進めている。
英国財務省は昨年4月初旬に、英国を世界的な暗号資産業界のハブにするための計画を発表。同国においてステーブルコインを決済手段として利用できるよう整備及び立法化していく方針が示された。
一時、暗号資産市場の市況悪化などにより、英国においてのステーブルコイン規制の先行きが不透明な時期もあったが、2022年7月に、ナジム・ザハウィ(Nadhim Zahawi)財務大臣による「テクノロジーの中心地としての英国の立場を推進する」という意志表明により、英国におけるステーブルコイン規制推進の動きが明らかとなっていた。
6月29日には「金融サービス・市場法案(Financial Services and Markets Bill:FSMB)」が英国君主のチャールズ3世国王によって承認。これにより、「金融サービス・市場法案」は正式に法制化されることとなった。
これに伴い、イングランド銀行へはシステミックなステーブルコイン体制を構築する権限が与えられた。同行は、システミックなステーブルコインに関する規則を年内に発表する予定だと伝えている。
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参考:コンサルテーションペーパー
デザイン:一本寿和
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