日本の中小企業のシームレスな東南アジア参入を目指す
国内フィンテック企業ソラミツが、ブロックチェーン活用のCBDC(中央銀行デジタル通貨)およびステーブルコインの相互互換性によるクロスボーダー(越境)決済・Eコマースの開発プロジェクトチームを発足したと8月8日発表した。
発足された開発プロジェクトチームの名称は「睦〜MUTSUMI〜」だ。ソーシャルDXプロデュース企業のビビット(VIVIT)および多摩大学大学院ルール形成戦略研究所(CRS)と共同で発足されている。
なお同プロジェクトでは、ソラミツがカンボジア中央銀行と発行したカンボジア王国のCBDC「バコン」を活用するとのこと。
なお「バコン」は現在、カンボジアを中心に、マレーシア、タイ、ベトナム等のASEANをはじめとした東南アジア諸国との越境送金・決済を実現し、インド、中国、ラオス等との越境送金・決済への拡大を発表するなど、普及を急速に進めているという。
同プロジェクトでは日本の中小企業が東南アジアの大きなマーケットにシームレスに参入できるEコマースを、「バコン経済圏」の基盤上に構築することで、日本各地の産業・文化が東南アジアに直接届く「新しい経済圏プラットフォーム」の実現を目指すとのことだ。
今回発足された「睦〜MUTSUMI〜」はまず、ジョイントベンチャープロジェクトとして始動するという。
ビビットが企画推進やコーディネート等、全体の舵取りを担い、ソラミツがクロスボーダー決済システムの検討・構築、ブロックチェーン技術の活用や金融システムとの連携などの調整を行うとのこと。
またCRSは東南アジアの外交関連、関連諸国の法律対策やルール形成戦略などを担当するとのことだ。
今後は、同プロジェクトに賛同する協力企業と共にマーケティングやPOCを進め、2024年秋頃のサービスローンチを目指すとのことだ。
実現めざずクロスボーダー決済について
また今回の発表では、「睦〜MUTSUMI〜」において実現を目指すクロスボーダー決済の具体的な仕組みについても説明されている。
その仕組みとは、日本の様々な金融機関が発行するステーブルコインとカンボジアのCBDC「バコン」をステーブルコイン交換所経由で接続するとのこと。この交換所では、ステーブルコインとCBDCの交換及び為替レートの換算を行うという。
また「バコン」では既に、マレーシア、タイ、ベトナムとQRコードによる越境決済が実現しており、さらにインド、中国、ラオスとも越境決済を開発中である。そのため東南アジア各国のQRコード決済手段の保有者は「バコン」を経由して、日本とのクロスボーダー決済が可能になるという。
これによりクレジットカードを持たない層も各国のQRコード決済手段を活用して、スピーディかつ低コストにクロスボーダー決済が可能になり、日本からの地域の特産品や各種のデジタルコンテンツを容易に東南アジア全体に販売可能になるとのことだ。
「バコン」について
ソラミツは2020年より実運用が開始されているカンボジア王国のCBDC「バコン」を同国中央銀行・金融監督局であるカンボジア国立銀行と共同開発した。「バコン」にはソラミツ開発のオープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Iroha」が利用されている。
またカンボジア国立銀行によると、CBDC「バコン」は、2020年11月末時点において、ホールセール決済はのべ790万人の利用者となり、開始から約1年で国民(1670万人)の約2分の1に普及したとのことだ。なお「バコン」はカンボジアにおいて、大口の銀行間取引である「ホールセール決済」と国民や企業が日々の送金や支払いに活用する「リテール決済」の両方で利用されている。
アジア大洋州の国々でCBDC導入に向けた調査も
またソラミツは2021年12月、フィジー、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツの4ヵ国とCBDC発行の検討を行うと発表していた。この取り組みでは、ソラミツがNTTデータ経営研究所のブロックチェーン関連業務の一部を受託したかたちで行われるとのことだった。
なお昨年6月には、ベトナム、フィジー、フィリピン等でCBDC導入に向けた調査事業を開始している。
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デザイン:一本寿和
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