運用利益も前四半期比で30%増
ステーブルコインUSDTの発行元であるテザー(Tether)社が、2023年第2四半期の資産残高が5.7%増の865億ドル(約12.3兆円)に達した一方、「運用利益」は10億ドル(約1,428億円)超となり、前四半期比で30%増加したことを7月31日発表した。
ステーブルコインは一定の価値を保つことを目的とした暗号資産(仮想通貨)の一種で、通常はドルなどの伝統的な資産によって裏打ちされている。市場追跡会社コインゲッコー(CoinGecko)によると、テザー社のコインの流通額は838億ドル(約12兆円)で、暗号資産全体では第3位だという。
会計事務所BDOイタリア(BDO Italia)が署名したテザー社の準備金報告書によると、2023年6月30日までの3ヶ月間でテザー社の資産は865億ドル(約12.3兆円)に増加。前四半期から5.7%増加し、過去最高を記録した。
テザー社はデジタル資産取引において重要な役割を担っており、多くの暗号資産間取引が、テザー社提供のステーブルコインで行われている。
米国の規制当局は銀行に対し、保有者が急ぎステーブルコインを従来の通貨に戻そうとした場合などに、ステーブルコインの準備金が急速に不足する可能性があると警告している。
なおテザー社が保有する米国財務省証券は、3月末から5.2%増の558億ドル(約8兆円)に達し、非米国財務省証券は前期から30%以上増の6290万ドル(約89.8億円)に達したという。
テザー社はまた、1億1500万ドル(約164.2億円)の社債、33億ドル(約4,713億円)の貴金属、17億ドル(約2,427.8億円)相当のビットコイン(BTC)、55億ドル(約7,854.8億円)の担保付きローン、24億ドル(約3,427.5億円)の不特定の「その他の投資」を保有資産に数えている。
監査人の報告書とは別に、テザー社はウェブサイト上の声明にて、4月から6月までの営業利益が10億ドル(約1,428億円)を超え、四半期ベースで30%増加したと述べているが、その計算方法は明らかにされていない。
ニューヨーク検事総長との2021年の和解の一環として、テザー社は2年間、四半期ごとに準備金の報告書を提出することに同意した。テザー社はそのウェブサイトで、今年初めにこの義務を完了したと述べている。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Stablecoin Tether’s reserves hit record $86.5 billion in Q2 By Elizabeth Howcroft
Reporting by Elizabeth Howcroft; editing by Christina Fincher
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters