伊藤忠子会社、NFTで農地の温室効果ガス放出量を可視化
伊藤忠商事グループのIT子会社である伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と新潟大学が共同で行う、農地における温室効果ガス(GHG)放出量の正確な測定やデータの可視化に関する実証実験において、NFT基盤が活用されていることが7月7日発表された。
このNFT基盤は、ミンカブ・ジ・インフォノイドの子会社であるミンカブWeb3ウォレットが提供しているという。実証実験は先月6月から開始しており、2024年3月まで実施される予定だ。
この実証実験では、農業分野における「カーボン・クレジット」取引に向けて、農地におけるGHGの放出量を測定し、そのデータをもとにGHG放出量の削減に貢献した生産者の活動実績をNFT化して活用する検証を行うもの。
近年、カーボンニュートラルの実現に向けた施策として、堆肥や緑肥などの有機物を用いた土づくりを通して、農地を含めた土壌での二酸化炭素(CO2)の排出を抑える「炭素貯留」の取り組みが注目されているという。農業分野では、GHGの放出量や削減量を売買する「カーボン・クレジット」が、新たな収入源として期待されており、CO2排出を抑える「炭素貯留」には「カーボン・クレジット」として取引するために、精度の高い測定方法や信頼性のあるデータをデジタル化して管理する仕組みが求められているとのことだ。
この実証実験におけるGHG放出量の測定は、CTCと新潟大学との共同研究として、新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センターの試験対象区の農地約60アール(約6,000平方メートル)で行っているとのこと。複数の地点で土壌をサンプリングし、土壌成分の違いによるGHG放出量の違いを検証しているという。
そしてデータ管理や可視化のシステム構築はCTCが担っており、ブロックチェーン技術を活用し、GHG放出量削減に貢献した生産者の活動実績をNFTに変換。NFT基盤上でNFTマーケットプレイスを構築し、カーボン・クレジットとしてデータ取引が可能かを検証しているとのことだ。
また大規模エリアでの将来的なGHG放出削減量や、NFT取引の市場規模と経済効果の予測分析の他、その予測分析の計算処理に参加した地域の消費者へポイントを還元し、参加を促すといった取引で得た収益の還元方法の検討も実証実験では行うとのことだ。
なお予測分析には、スマートフォンの未使用の時間を活用して分析に利用するグリッドコンピューティング基盤であり、CTCと東京工科大学との共同研究プロジェクトである「スマホでグリッド」を活用するとのことだ。
CTCは今回の実証実験に関して、2024年中のソリューション展開も視野に、「炭素貯留」によって創出される信頼性の高いカーボン・クレジット取引の仕組みを構築するとのことだ。
なお「あたらしい経済」編集部は、ミンカブ・ジ・インフォノイドに対し、今回の実証実験で提供したNFT基盤に採用されているブロックチェーンについて問い合わせを行っている。同社より回答が得られ次第、この記事に追記させていただく予定だ。
以下2023.7.13 13:00追記
「あたらしい経済」編集部がミンカブ・ジ・インフォノイドへ取材したところ、今回の実証実験で提供したNFT基盤に採用したブロックチェーンは、「THXNET.」に繋がるレイヤー1ブロックチェーンとのこと。
ミンカブ・ジ・インフォノイドによると「THXNET.」は、異なるブロックチェーンを繋ぐレイヤー0として開発されたポルカドット(Polkadot)と同様の基盤をベースにしたパブリックブロックチェーンと、複数の専用レイヤー1ブロックチェーンとなるプライベートチェーンから構成されるハイブリッドブロックチェーンネットワークとのこと。
なお「THXNET.」のウェブサイトを確認すると同ネットワークは、ポルカドットや同チェーンに接続されるブロックチェーンが構築されたSDK「サブストレート(Substrate)」によって開発がされたようだ。なお「THXNET.」は現在アルファ版としてリリースがされていることがロードマップによって確認できる。
ミンカブ・ジ・インフォノイドは「THXNET.」について「企業がWeb3サービスを容易に立ち上げるためのワンストップ型
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参考:伊藤忠テクノソリューションズ・ミンカブ・ジ・インフォノイド
デザイン:一本寿和
images:iStocks/ipopba