ヴィタリック、「イーサリアムには3つの移行が必要である」と発言

ヴィタリック氏がイーサリアムには3つの移行が必要であると発言

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、「3つの技術的移行がなければイーサリアムは失敗する」と6月9日に公開した自身のブログにて語った。

なおヴィタリック氏が言及した3つの技術的移行は、「L2スケーリングの移行」、「ウォレットのセキュリティ移行」、「プライバシーの移行」である。

「L2スケーリングの移行」は、全てのユーザーがイーサリアムから「ロールアップ」を活用したL2ネットワークに移行することだ。なお「ロールアップ」は、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。

また「ウォレットのセキュリティ移行」は、現在多くのユーザーが広く利用している「外部所有アカウント」から、「スマートコントラクトウォレット」に移行することである。「スマートコントラクトウォレット」は「外部所有アカウント」のように資産を秘密鍵で管理せず、スマートコントラクトで管理を行うウォレットのことである。

そして「プライバシーの移行」は、トランザクション情報をある程度隠すことを可能にする「ステルスアドレス」に対応したシステムに移行することだ。「ステルスアドレス」は今年1月20日にヴィタリック氏によって提案された技術で、ゼロ知識証明の応用型である「ZK-SNARKs(ズィーケースナークス)」の利用による実現が想定されている。

ブロックチェーンは分散性、安全性、スケーラビリティのトリレンマを抱えており通常これらすべてを改善することは難しい。ヴィタリック氏は「今回言及した3つの技術的移行を進めることが難しいとわかっているが、このトリレンマを解決し、イーサリアムが生き残るためにも移行を進めることが必要である」と述べている。

なおヴィタリック氏による今回の投稿は、以前から同氏が提案する内容をまとめたものである。「L2スケーリングの移行」と「スマートコントラクトウォレット」の採用は以前から開発が進められており、一部のユーザーはすでに採用している。

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参考:ヴィタリック氏のブログ
写真:大津賀新也(あたらしい経済)

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
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