事業清算計画の実行へ
米国連邦準備制度理事会(FRB)が、米シルバーゲート銀行(Silvergate Bank)に対し、預金者を保護しながら資金を保全する形で、事業清算計画を実行するよう命じたと6月1日発表した。
同事業清算計画はシルバーゲート銀行が3月8日に発表していたものだ。計画には顧客預金の全額返済も含まれていた。
今回のFRBによる命令は、シルバーゲート銀行の事業清算計画を正式に決定するもので、規制当局の承認なしに資本を分配したり、現金資産を消散させることを禁じている。
なお命令では、同計画を10日以内にカリフォルニア州の金融規制当局に提出するよう命じている。
シルバーゲート銀行は1月に、大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破綻にリスクを感じた投資家が2022年10~12月の期間でシルバーゲートから80億ドル(約1.4兆円)以上の預金を引き揚げたと報告。その後同社は第4四半期の純損失として10億ドル(約1309.5億円)を計上した。
またシルバーゲート銀行は、倒産した暗号資産取引所FTXおよびアラメダリサーチ(Alameda Research)との取引に関して、ワシントン連邦検察の調査対象となってることが2月に報道された。
報道によるとFTXの創設者であるサムバンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏のビジネスに関連する口座およびアカウントをシルバーゲートが提供していたことについて調査されているとのことだった。
その後3月には、親会社のシルバーゲートキャピタル(Silvergate Capital Corporation)が、米証券取引委員会(SEC)へ年次報告書「Form 10-k」の提出を延期したことが起因となり、複数の暗号資産関連企業からの取引停止が相次いだ。
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参考:命令文書
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Fed orders Silvergate to complete wind-down while protecting depositors, preserving cash
Reporting by Pete Schroeder; Editing by Chizu Nomiyama
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters