サークルがUSDCの新しい転送メカニズムを採用へ
米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行する米サークル(Circle Internet Financial)が、「USDC」をブロックチェーン間で転送する新しいメカニズム「クロスチェーン転送プロトコル(Cross-Chain Transfer Protocol:CCTP)」を4月26日にリリースした。
「CCTP」は「USDC」を転送元のチェーンで消滅(バーン)させ、転送先のチェーンで発行(ミント)する「バーンアンドミント(Burn and mint)」を採用することで、より安全に他のブロックチェーンに「USDC」を移動できる機能である。
従来のブロックチェーンをまたいだトークンの転送では、トークンを転送元のチェーンで消滅させずスマートコントラクトにロックし、転送先のチェーンで発行する仕組みである「ロックアンドミント(Lock and mint)」が利用されている。
「ロックアンドミント」は通常複雑なコントラクトを利用する必要があり、転送元でトークンはロックされているものの転送先で新たにトークンが発行される為、対象トークンの総発行枚数が増加するリスクをはらんでいる。
サークルの「CCTP」では「バーンアンドミント」の採用により、転送元でトークンをバーンさせることで転送先のトークンがネイティブとなるため、この問題を軽減しているという。また「バーンアンドミント」により、「USDC」の流動性および、トークンブリッジによりロックされるトークンの断片化も抑制する。
リリースにて製品担当VPのジョアン・レジナット(Joao Reginatto)氏は「CCTPは、ブリッジ資産のリスクと断片化された性質によるDeFi(分散型金融)の流動性と資本に関する非効率性の問題を解決するのに役立ちます。CCTPを使用すると、開発者はユーザーエクスペリエンスを簡素化でき、ユーザーは常に非常に流動的で安全で代替可能な資産であるネイティブのUSDCを取引していると信頼できます。このマイルストーンにより、USDCはネイティブのマルチチェーンデジタルドルになります。」と語っている。
この「CCTP」はイーサリアム(Ethereum)とアバランチ(Avalanche)の両メインネット間で最初にサポートされるとのこと。
また「CCTP」は2023年後半には多くのチェーンで利用可能になるという。既に開発者向けのドキュメントが公開されており、興味のあるユーザーは既に開発に「CCTP」に対応した「USDC」をプロダクトに採用できるようになっている。
サークルは昨年9月、「CCTP」を昨年後半にイーサリアムとアバランチで稼働すると発表していた。
なおその際には「USDC」に対応する新たなブロックチェーンとして、イーサリアム(Ethereum)のL2ソリューションであるアービトラム・ワン(Arbitrum One)およびオプティミズム(Optimism)、ニアプロトコル(Near Protocol)、ポルカドット(Polkadot)、コスモス(Cosmos)の5つのチェーンに対応することを発表していた。
「USDC」は米ドル(USD)と1:1の比率で価値を維持(ペッグ)しているステーブルコイン。ステーブルコインの中では第二位の時価総額となっている。なお第一位はテザー社の「USDT」だ。現在ではソラナやアバランチ、トロンをはじめ様々なブロックチェーンで発行されており、その時価総額は現在およそ305億円となっている(4/28コインマーケットキャップ調べ)。
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参考:サークル
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