デジタル通貨「DCJPY」による決済の実証実験、会津若松市の地域事業者が参加

DCJPYによる決済の実証実験へ

デジタル通貨事業を行うディーカレットDCPが事務局を務める「デジタル通貨フォーラム」の「地域通貨分科会」が実施する、デジタル通貨を活用した支払いや精算にかかる実証実験の予定が3月3日発表された。

この実証実験は、福島県会津若松地域の事業者および金融機関の協力のもと行われるとのこと。

デジタル通貨実用化の際に発行主体として想定される地域金融機関として、AiCTコンソーシアムの会員であるみずほ銀行会津支店、東邦銀行、会津信用金庫、会津商工信用組合に加え、ゆうちょ銀行が参加するという。なおAiCTコンソーシアムは、オプトインによるデータ活用とパーソナライズによる市民中心のスマートシティ実現に向け、国内外の有力企業、会津地域の企業や団体など、約90の会員企業・団体で構成されている共同事業体だ。

今回実施される実証実験は「購買データを用いた健康事業におけるデジタル通貨の活用」および「食農マッチングサービスにおける事業者間決済へのデジタル通貨活用」の2つとのこと。両実証実験ともに、3月3日~16日の期間の1日を使って実施するという。

「購買データを用いた健康事業におけるデジタル通貨の活用」の実証実験では、地元スーパーマーケットにて行われている「地域通貨『会津コイン』を活用し購買データを健康促進に役立てる事業」において、「会津コイン」との連携によるデジタル通貨「DCJPY(仮称)」を活用した資金精算を行うとのこと。

同事業は、会津若松市内で利用開始されている地域通貨「会津コイン」を購買インセンティブとして、スーパーマーケットでの購買データにより健康アドバイスを行うもの。今回は「会津コイン」の付与主体とスーパーマーケット事業者間での精算を「DCJPY」の移転により行うという。

また「食農マッチングサービスにおける事業者間決済へのデジタル通貨活用」の実証実験については、農業事業者と地域内のレストラン等との間で直接流通を実現するサービス「ジモノミッケ!」の取引で生じる事業者間の決済を「DCJPY」の移転によって行うとのことだ。

これら実証実験は、利用者が給付金等を即時に受け取れること、事業者はキャッシュレスの立替金や事業取引の精算を即時でおこなえるため、資金繰りが良くなるなどのメリットがあるとのことだ。

「デジタル通貨フォーラム」ではこの実証実験により、これら地域の事業者が参加するユースケースを通じて、デジタル通貨の有用性の確認や実用化に向けた課題抽出を行うとのこと。またこの実証実験によって、金融機関における業務の検証、新たな金融サービスを検討する契機となることが期待されるとしている。

なおこの実証実験には「デジタル通貨フォーラム」の「地域通貨分科会」からインターネットイニシアティブ(IIJ)、九州フィナンシャルグループ、iCTコンソーシアム、SocioFuture、TIS、西日本旅客鉄道、三井住友銀行、ゆうちょ銀行、りそな銀行が参加し、必要な支援を行うと共に知見を共有するとのことだ。

先日2月27日には、「デジタル通貨フォーラム」の「電力取引分科会サブグループA」が、デジタル通貨「DCJPY」に電力P2Pプラットフォームで環境価値の取引経過を記録して、公道を実走するバスの乗車運賃の決済に利用する実証実験の実施予定を発表している。

また2月15日には「電力取引分科会サブグループB」が「DCJPY」活用のファイナンス実証実験を行うことを発表している。ブロックチェーンでの再生可能エネルギーの取引で発生する決済において「DCJPY」を活用する他、「DCJPY」での貸付「サスティナビリティ・リンク・ローン」を行うファイナンスサービスの実証実験を行うとしていた。

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参考:ディーカレットDCP
デザイン:一本寿和

images:iStocks/yewkeo・Dmytro-Rohovyi

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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