バス運賃の決済に環境価値を付加したDCJPYを利用する実証実験
デジタル通貨事業を行うディーカレットDCPが事務局を務める「デジタル通貨フォーラム」において、デジタル通貨「DCJPY」に電力P2Pプラットフォームで環境価値の取引経過を記録して、公道を実走するバスの乗車運賃の決済に利用する実証実験の実施予定が2月27日発表された。
この実証実験の目的は、バスの乗車運賃の決済に環境価値の取引経過が記録された「DCJPY」を使うことにより、ユーザーが保有する環境価値が公共交通機関(バス会社)に移転されることを実証するとともに、環境価値がバス利用の対価になりうることを明確にすることだという。そしてこれにより、ブロックチェーン技術を利用したデジタル通貨の活用領域の拡大と、環境価値の2次流通に向けた今後の可能性を検証していくとのことだ。
実証実験の実施は3月9日11:00開始予定とのこと(予備日3月13日)。実験で走行するバスは大阪府茨木市内の公道を走行し、モニターが乗降するという。なお実証実験に利用する「DCJPY」は、銀行発行を行わず模擬発行にて対応するとのことだ。
なお実証実験に参加するのは、「デジタル通貨フォーラム」の「電力取引分科会サブグループA」に所属する企業。事務局であるディーカレットや同グループ幹事の関西電力の他、インターネットイニシアティブ(IIJ)、中部電力、阪急阪神ホールディングス、ローソンが参加するとのことだ。
「デジタル通貨フォーラム電力取引分科会」では、「電力・環境ビジネスへのデジタル通貨適用とその評価」を軸に、電力売買に伴う決済にデジタル通貨を活用することにより、グリーン電力の利用証明や再生可能エネルギーを活用した新たなサービスなどの検討を行っているとのこと。この取り組みの一環として「電力取引分科会サブグループA」では、「DCJPY」による模擬電力・環境価値取引の精算に加え、電力売買で受け取った模擬デジタル通貨を小売店舗での決済を行う実証実験を2022年に行っている。
なお2月15日に「電力取引分科会サブグループB」が「DCJPY」活用のファイナンス実証実験を行うことを発表している。ブロックチェーンでの再生可能エネルギーの取引で発生する決済において「DCJPY」を活用する他、「DCJPY」での貸付「サスティナビリティ・リンク・ローン」を行うファイナンスサービスの実証実験を行うとしていた。
関連ニュース
- デジタル通貨「DCJPY」で再エネのファイナンス実証実験へ、エナリス・東京都・三井住友銀・ディーカレットら
- ディーカレットDCP、円建て民間デジタル通貨「DCJPY」関連システムの特許取得
- IoTデバイスのセキュリティにブロックチェーン、IBCとIIJ協業
- TEIJINと富士通、ブロックチェーンで「自転車フレームの炭素繊維」を環境価値化する実証開始
- TIS、ブロックチェーン活用の「環境価値移転管理システム」開発
参考:ディーカレット