サークルの上場計画廃止の原因はSECか
米ドルステーブルコインUSDCを発行するサークル(Circle)による特別買収目的会社(SPAC)を介した上場計画の解消の原因が、米国証券取引委員会(SEC)にあることをフィナンシャルタイムズ(Financial Times)が1月25日に報じた。
サークルは2021年7月に、SPACであるコンコード・アクイジション・コーポレーション(Concord Acquisition Corp)と企業結合し上場する計画を発表していた。なおSPACとは上場のみを目的とした白紙会社であり、SPACが上場した際の株式発行によって得られた資金を使用して未公開企業を買収することで、その未公開企業を実質的に上場させることができる仕組みとなっている。
しかしコンコードをSPACとするサークルの上場計画は難航し、両社の契約条項に定められた結合期限の2022年12月に、上場計画の解消がサークルとコンコード両社の取締役会によって承認された。
このとき、サークルCEOであるジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は「私たちは期限内にSECの要件を満たすことができなかった」とツイッターにて述べている。
今回サークルがFTに語ったところによると、サークルの上場計画解消の主たる原因は、暗号資産(仮想通貨)市場の混乱や投資家による不況予想などではなく、SECにあるという。SECが上場に必要な登録書類を承認しなかったため、契約期間内に企業買収を完了することができなかったとのことだ。
SECの慎重な対応についてサークルは「SECへの最初の申請から12月の合併案の終了までの15ヶ月の間にサークルの事業が急速に拡大し進化したことを考えると、SECが徹底的で厳格な審査プロセスを持つことは必要で適切かつ合理的です」と述べているとのこと。
一方で、コインデスク(CoinDesk)の取材に対しサークル広報担当者は「コンコードとのSPAC上場計画の終了に関連するものについて、サークルはSECを非難しておらず、またそれに関連するいかなる声明も不正確です」と述べ、SECに対する非難を否定している。
ちなみにSECの最近の動きとして、1月10日に暗号資産の貸出プログラムを通じて証券を違法に販売したとしてジェネシスグローバルキャピタル(Genesis Global Capital LLC)とジェミナイトラストカンパニー(Gemini Trust Company LLC)の2社を起訴している。また5日にはバイナンスUS(Binance US)による暗号資産レンディング企業ボイジャーデジタル(Voyager Digital)の買収について異議を申し立てたことが明らかになっている。
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参考: Financial Times・CoinDesk
デザイン:一本寿和
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