NY州金融サービス局、暗号資産事業体の破産時の顧客保護ガイダンス発表

顧客資産の分別管理、目的外使用の禁止など顧客利益を強調

ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が、暗号資産(仮想通貨)事業体に向けた破産時の消費者保護ガイダンスを1月23日に発表した。

このガイダンスは「倒産時または同様の手続きにおいて顧客をより良く保護するために、健全なカストディアンおよび開示慣行を強調すること」を目的として定められたものであり、暗号資産事業体が倒産した場合でも、常に利益を顧客側に残すことを優先させるものであるとのことだ。

本ガイダンスの適用対象は、暗号資産カストディアンとして顧客資産を保管することをNYDFSから許可された事業体となっている。

NYDFSはガイダンスにて以下の4つの要件を提示している。

(1)顧客資産と会社資産を分別して管理・計上すること。暗号資産についてはブロックチェーン上で分別管理を行い、それ以外の資産については事業体の内部口座で分別管理を行うこと。
(2)資産保管を目的として預けられた顧客の暗号資産を、保管以外の目的に使用しないこと。また顧客資産を預かる際に、顧客と事業体の間に債権者と債務者の関係を築くべきではない。
(3)外部のカストディアンに保管を手配する場合は、そのカストディアンとの取り決めが本ガイダンスの要件を満たしており、当局からの承認を得ていること。
(4)事業体の活動に関連する条件を顧客に明確に開示すること。ここには、保管する暗号資産の分別管理と会計処理の方法や顧客の保有財産権などの情報も含まれる。

NYDFSは今後も市場動向や規制の状況を分析し、データに基づいて規制を適用していくとのことだ。

昨年11月に暗号資産取引所FTXが破産し、FTX幹部による不適切な顧客資産の使用により多くの顧客資産が失われていたことが明らかになった。またFTXの現CEOが内部を調査した結果、資産の会計管理も杜撰であったとのことだ。

なお今月19日にはFTX経営破綻の影響を受け、暗号資産レンディングのジェネシス・グローバル・キャピタル(Genesis Global Capital)およびその親会社であるジェネシス・グローバル・ホールドコ(Genesis Global Holdco:GGH)、そして同社のもうひとつのレンディング事業子会社であるジェネシス・アジア・パシフィック(Genesis Asia Pacific:GAP)が破産申請を行っている。ただしカストディ業務やデリバティブ取引を担う関連会社については業務を継続するとのことだ。

関連ニュース

Genesis Global Capitalが破産申請、デリバティブやカストディ事業運営会社は対象外

米連邦検察がFTX前CEOサムから約904億円の資産差し押さえ、ロビンフッド株大半か

FTX現CEO、暗号資産取引所の再開可能性を語る= WSJ

DMM、web3新会社「DM2C Studio」設立へ

FTX US元CEOがDeFiで起業、コインベースやサークルらから500万ドル調達

参考:NYDFS
デザイン:一本寿和

images:iStocks/Rawpixel・Ninja-Studio

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

合わせて読みたい記事

【11/1話題】イミュータブルがSECからウェルズ通知、アルゼンチンLABITCONFがサトシの正体明かすと告知など(音声ニュース)

イミュータブルが米SECからウェルズ通知受ける、「IMX」証券性の疑いか、アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開、Crypto[.]comがSEC登録ブローカーディーラー買収、米国ユーザーに株式取引機会提供へ、セキュリタイズ、トークン化資産の管理機能統合の「Securitize Fund Services」立ち上げ、米マイクロストラテジー、「21/21プラン」で420億ドル調達を計画、ビットコイン購入資金で、BIS、中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱、Sui対応の携帯型ゲーム機「SuiPlay0X1」、格闘ゲーム『サムライスピリッツR』リリースへ、ヴィタリック、イーサリアム最後のチェックポイント「ザ・スプラージ」解説、バイナンス共同創業者、「Web3が身近な社会実現目指す」と語る。伝統的金融や規制当局と協力の姿勢も=BBW

Sponsored

アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知(有識者コメントあり)

アルゼンチンで11月1日から開催されるビットコイン(Bitcoin)のカンファレンス「LABITCONF(Latin American Bitcoin & Blockchain Conference)」にて、ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモトが自身の正体を明らかにすると、同カンファレンスの公式Xよりプレスリリースが出された

フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開

米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)が、「オンチェーン米国政府マネーファンド(OnChain U.S. Government Money Fund:FOBXX)」をイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ブロックチェーン「ベース(Base)」上でローンチした。フランクリン・テンプルトンが公式Xにて10月31日発表した