シルバーゲートが4Qで10億ドルの純損失計上
シルバーゲートキャピタル(Silvergate Capital Corporation)が、暗号資産取引所FTXの破綻に怯えた投資家が2022年の10~12月で80億ドル(約1.4兆円)以上の預金を引き揚げたと今月初めに報告。その後同社は昨年の第4四半期(10~12月)で10億ドル(約1309.5億円)の純損益を計上した。
シルバーゲートキャピタルは暗号資産(仮想通貨)関連サービスを提供する米大手シルバーゲート銀行の持ち株会社だ。
なお同行の株価は、デジタル資産業界へのサービス提供を引き続き約束するとして投資家を安心させようとしたため、直近では10%以上上昇した。
シルバーゲートのCEOのアラン・レーン(Alan Lane)氏は1月2日、アナリストとの電話会議にて「収益性に焦点を当て、商品ポートフォリオと顧客関係を評価している最中だ」と述べたという。
またレーン氏は、シルバーゲート銀行が今後数週間のうちにコアビジネスとは別に特定の顧客を切り離し、デジタル資産の保管など「コストがかかりすぎたり、複雑になったりした」特定の商品を排除すると、付け加えた。
暗号資産に特化したシルバーゲート銀行は以前、暗号資産(仮想通貨)の低迷が深まる中でコストを抑制しようと、従業員の40%に当たる約200人削減すると発表していた。
シルバーゲートは1月5日に発表した決算速報の中で、デジタル資産顧客からの預金総額が9月末の119億ドル(約1.5兆)から12月末には38億ドル(約4981.6億円)に減少したと報告。同社は第4四半期に52億ドル(約6816.9億円)の債務証券を7億1800万ドル(約941.2億円)の損失で売却し、流動性を維持した。
この悲惨ともいえる業績報告を見ても、FTXの破綻がデジタル資産業界へ与える影響は甚大だ。
以前シルバーゲートはFTXに未払いローンや投資はないと伝えていたが、FTXの破綻以降、同社の株式はその価値の60%近くを失った。
シルバーゲートは今月初め、「メタ(Meta Platforms)」が昨年支援していた「ディエムグループ(Diem Group)」から購入したブロックチェーンベースの決済ソリューションの立ち上げ延期を発表していた。
また同行は、決済ソリューションのベンチャー企業購入にあたり昨年第4四半期に利用した資産について、1億9600万ドル(約256.9億円)の減損損失を計上すると発表している。
1988年設立のシルバーゲートは、2013年にクリプト業界に進出。同行は、「コインベース(Coinbase Global)」や「クラーケン(Kraken)」などの大手取引所を顧客に抱えている。
なお同行は、住宅ローン事業も行っていたが、金利上昇と住宅ローン数の減少を理由に同部門の縮小を昨年12月に発表した。その際の提出書類によると、同行は第4四半期にサンフランシスコ連邦住宅貸付銀行から43億ドル(約5637.1億円)の前払いを受けている。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Silvergate Capital reports net loss of $1 billion for the fourth quarter
Reporting by Hannah Lang in Washington; Editing by Andrea Ricci
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters