2022年の暗号資産の違法利用が2.5兆円に
2022年の暗号資産(仮想通貨)の違法な利用が、米国の制裁対象企業の取引が急増し、201億ドル(約2.5兆円)を記録したことが、米ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)の報告書で1月13日明らかになった。
なおこの201億ドルの見積もりは、ブロックチェーン上に記録された活動のみを含み、暗号資産関連企業による不正会計などの「オフチェーン」犯罪は除外しているとのことだ。また、暗号資産が麻薬取引における支払手段として使用された場合など、暗号資産領域に関連しない犯罪の収益である場合も除外されるとしている。
またチェイナリシスはこの報告書で、2021年の数字がより多くの詐欺の発見により140億ドルから180億ドルに修正されたことに触れ、「私たちは、これが下限推定値であることを強調しなければならない。不正取引量に対する私たちの尺度は、時間とともに確実に成長する」と付け加えている。
暗号資産の取引量全体が減少しても、不正行為に関連する取引額は2年連続で増加している。制裁を受けた企業に関連する取引は、2022年に10万倍以上に増加し、昨年の不正活動の44%を占めるとのことだ。
4月に米財務省から制裁を受けたロシアの取引所「ガランテックス(Garantex)」が受け取った資金は、2022年の不正取引量の多くを占めており、活動の大部分は「ロシアの取引所を利用するロシアのユーザーと思われる」とチェイナリシスはコメントしている。チェイナリシスの広報担当者は、ウォレットが制裁を受けた団体の一部である場合、「不正」のタグが付けられると述べている。
米国は昨年、暗号通貨ミキシングサービス「ブレンダー(Blender)」と「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」にも制裁を課し、北朝鮮を含むハッカーがサイバー犯罪で得た数十億ドル相当の収益を洗浄するために利用されていると指摘している。
盗まれた暗号資金(仮想通貨)の量は昨年7%増加したが、詐欺・ランサムウェア・テロ資金・人身売買に関連するものを含む他の不正な暗号資産取引は減少したという。チェイナリシスは理由の一つとして「市場の低迷」を挙げ、「過去に、暗号資産詐欺は、弱気相場では収益が少ないことが分かっている」と述べている。
昨年の暗号資産(仮想通貨)市場は、FTXをはじめとする様々な暗号企業崩壊の影響により低迷した。昨年5月には時価総額で世界最大の暗号資産ビットコイン(BTC)が、2021年7月以来の安値に急落。2021年11月に記録した史上最高値に比べ、50%下落した形となっていた。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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Reporting by Elizabeth Howcroft; Editing by Tomasz Janowski
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
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