イタリアが暗号資産への課税強化
イタリア政府による暗号資産(仮想通貨)への課税が、2023年から強化されることを12月1日ブルームバーグが報じた。
報道によると、イタリア政府の2023年予算案の中に暗号資産に対する課税強化計画が含まれており、2000ユーロ(約28万円)を超えるキャピタルゲインに対する課税を26%とする方針であるとのこと。なおこれまで同国では暗号資産を「外貨」として扱っていたため、暗号資産によるキャピタルゲインへの課税は厳しくなかった。
また同国のジョルジア・メローニ(Giorgia Meloni)首相が提出した法案には、「2023年1月1日時点の資産状況を申告した納税者の税率を14%に軽減する」という案が含まれているとのこと。この措置は確定申告において国民に正しく資産状況を申告させることが狙いであると考えられる。この法案には暗号資産の開示義務や印紙税の暗号資産取引への拡大なども含まれているが、法案が可決されるかは定かでない。
世界の暗号資産課税状況
ポルトガルは今年10月に暗号資産への課税強化を発表し、保有期間が1年未満の暗号資産によって得られたキャピタルゲインに対して28%の税金を課すことを明らかにした。
英国は暗号資産による12300ポンド(約200万円)未満のキャピタルゲインには非課税としており、課税枠についても税率は10%となっている。また英国歳入関税局は2022年初頭に脱税への措置として初めてNFTを押収を実施している。
また米国は暗号資産、NFT、ステーブルコインを資産として同一カテゴリに分分類しており、これらのキャピタルゲインに対して最大で0~37%の課税を行っている。
そしてインドでは今年4月から新たな税制が適用され、暗号資産、NFT、その他のトークンが「デジタル資産」として分類されることとなった。そしてそれらの資産から得られるキャピタルゲインに対して30%の税金が課されている。
また日本では暗号資産による利益を雑所得に分類しており、所得合計に応じた累進課税としている。このような仕組みに対し、自民党デジタル社会推進本部は暗号資産の利益に対する課税を一律20%の申告分離課税とする案を含む緊急提言を11月11日に発表している。また日本ブロックチェーン協会(JBA)も同様の改正案を含む改正要望を11月16日に発表している。
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参考:Bloomberg
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