エクシアデジタルアセットに行政処分
関東財務局が、国内暗号資産交換業者のエクシア・デジタル・アセットに対し、資金決済法に基づく行政処分を11月30日下した。処分の内容は業務停止および業務改善命令となっている。
エクシア・デジタル・アセットは暗号資産「c0ban(コバン)」を活用したサービスを展開する企業。同社はLastRoots(ラストルーツ)の社名で2016年6月に設立後、2019年11月には暗号資産交換業登録を完了し、2020年10月にエクシア・デジタル・アセットに社名変更している。
2019年2月よりLastRootsの親会社であったオウケイウェイヴからエクシア合同会社へLastRootsの株式を譲渡されたことにより社名変更に至っている。なおエクシア・デジタル・アセットは創業から今日まで、暗号資産は「c0ban」のみを取り扱っている。
行政処分の理由
今回エクシア・デジタル・アセットが行政処分となった理由として、「業務継続に必要な運転資金が不足する事態であること」と「親会社が所在地から退去を要請されたことから同社が11月28日よりリモートワーク体制で業務を開始しており、顧客暗号資産の秘密鍵について、十分なリスク評価を行わないまま、保管方法を変更していること」などから、同社が「暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない」状況に該当すると認められたからだという。
なお関東財務局によると、エクシア・デジタル・アセットは外部から資金支援を得るべく交渉しているものの、現時点において具体的な資金確保の見通しは立っていないという。また同社に対して、11月及び12月の資金繰りの実績及び予定を示すよう求めたところ、入出金の発生見込みを明確に把握できていないことが確認されたとのことだ。
そしてこのことは、同社が外部ベンダーに委託している「暗号資産交換業にかかる取引システムの開発・保守運用及び受託暗号資産の管理」について支払ができなかった場合、取引システムの継続に支障が生ずる可能性があり、利用者の金銭・暗号資産の分別管理等、利用者保護のために必要な措置が行われないおそれがあると説明されている。
業務の停止・改善命令について
エクシア・デジタル・アセットへの業務停止命令は、12月1日から12月31日までの期間。その間は暗号資産交換業に関する業務と利用者から財産を受け入れる業務を停止することが命じられている。
ただしこの期間は「暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制を維持するための具体的な態勢の整備が図られ、その状況が当局において確認される場合には、それまでの間」と付け加えられている。
また暗号資産交換業に関する業務については「預かり資産の管理及び利用者の決済取引等当局が個別に認めたものを除く」とも記載がある。
業務改善命令については「利用者の正確な把握及び利用者から預かった資産の正確な把握を行うこと」「利用者から預かった資産について保全を図るとともに、会社財産を不当に費消する行為を行わないこと」、「利用者間における公平に配慮しつつ、利用者の保護に万全の措置を講じること」、「利用者の資産保全について、利用者への周知徹底を適切に行うとともに、利用者への適切な対応に配慮すること」の4つがあげられている。
またこれら対応について、業務改善計画を12月6日までに書面で提出することと、業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに書面で報告することが義務付けられている。
そして「純資産の額、預金残高、日次の資金繰り状況」、「分別管理必要額(金銭、暗号資産の種類・数量)」、「金銭信託残高」、「コールドウォレット残高(暗号資産の種類・数量)」については初回報告日を12月1日として、当面の間は翌日12時までに日次で報告することが命じられている。
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参考:関東財務局
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