トレードワルツが5カ国貿易間接続とタイでのデータ連携実証成功
ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォームを運営するトレードワルツが、日本・タイ・シンガポール・豪州・ニュージーランドの5カ国貿易プラットフォーム間のシステム接続、および、タイでのユーザーを交えたデータ連携実証に成功したと11月18日発表した。
またそれぞれの国が持つ業界横断型のB2B(企業間取引)プラットフォームを、5カ国で一気に連携したことは世界初となるとのこと。
なおこれらの情報は、11月16日のAPEC2022タイ首脳会議付設「貿易DXシンポジウム」で発表された。
タイ政府機関のJSCCIBによると、ブロックチェーン基盤のナショナル・デジタル・トレード・プラットフォーム(NDTP) の第1フェーズは、トレードワルツとシンガポールの貿易プラットフォームのNTP(Networked Trade Platform)との接続により完了したとのこと。このフェーズ1には、電子発注書、電子請求書、電子パッキングリストなどの電子商取引文書の標準であるユーエヌシーファクト(UN/CEFACT)の実装が含まれており、同国の国際貿易デジタル化開始における重要な第一歩であるとのことだ。
NDTPは、タイ銀行協会、タイ産業連盟、貿易委員会の 3 つの業界団体が運営する民間プロジェクトで、JSCCIBにより推進されている。同プロジェクトの目的としては、貿易プロセスをデジタル化し、効率的な輸出入を行い、SME(中小企業)における貿易金融へのアクセス改善が挙げられている。
トレードワルツとは
トレードワルツ社はNTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンの大手7社の共同出資によって2020年4月に設立され、その後政府の支援や東京大学のベンチャーキャピタル、物流会社2社等の共同出資をうけ、現在は10社共同出資の産官学スタートアップとして活動している。また2020年11月以降に貿易のデジタル化、DXを目標に事業開始し、伊藤忠商事や双日、住友商事、三井物産、富士フィルム、三井住友銀行、NEC、ブルボンなどがトレードワルツのコンソーシアムに参加。今年8月に会員企業数は140社まで拡大した。
今年8月には豊田通商、豊島、上組、フジトランス、三菱倉庫の5社から9億円の追加資金調達を実施。これにより資金調達累計額は39億円となったと発表していた。
また「TradeWaltz」は、貿易業務における紙書類の処理プロセスなどを簡略化し、業務の効率化をするブロックチェーン活用のプラットフォームだ。導入により業務効率化の他、リモートワークの促進もできるという。なお「TradeWaltz」にはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤である「Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャーファブリック)」が採用されている。
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参考:トレードワルツ
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