バイナンスがFTX事業買収の基本合意、ただ最終判断はデューデリ後に

バイナンスCZがFTX買収の基本合意表明

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のCEOである「CZ」ことチャンポン・ジオ(Changpeng Zhao)氏が、大手暗号資産デリバティブ取引所FTX.comの買収に関するLOI(基本合意)に署名したことを11月9日自身のツイッターで表明した。

このことは、FTXのCEOであるサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏も自身のツイッターから報告をしている。

なおこの買収に関するLOIは拘束力を待たないものとなるため、バイナンスはFTXへデューデリジェンスを行ったうえで、最終的な買収判断をするとのことだ。

またSBF氏によると、バイナンスおよびFTXが米国で展開するBinanceUSとFTXUSについては、今回の買収について関わりがないことが伝えらえている。なお日本のFTX Japanも買収の対象ではない。

CZ氏よると今回の買収は、FTXがFTXトークンの流動性危機に陥り、バイナンスへ支援を要請してきたと説明している。同氏は「ユーザーを保護する為、FTXの完全買収と(FTXトークンの)流動性の逼迫をカバーすることを意図して、拘束力のないLOIに署名した」とツイートしている。

またCZ氏はこの契約が正式に成立するには対応事項が多く時間がかかるとし、また事態の進展に伴いFTXトークンの価格が不安定になる可能性も示唆している。

買収基本合意に至った経緯

今回FTXがバイナンスへ支援を要請し買収への基本合意まで至ったのは、SBF氏がFTX設立以前に立ち上げ保有している投資会社アラメダリサーチ(Alameda Research)の財務情報流出から始まった。

アラメダの資産146億ドルのうち、その多くがFTXが発行したFTXトークン(FTT)であり、また負債の一部についてもFTTで構成されていたことが明るみになった(FTTを担保にしたローンも確認)。

この財務情報流出をうけ、CZ氏は自社が保有しているFTTについて、流動性を考慮し売却するという方針を6日に示していた。このことが市場に対し大きな売り圧となり、FTTの価格が急落。なおSBF氏は流出した財務情報について「虚偽」であるとも発言していた。

その後、週末には約20ドルだったFTTの価格は約3ドルまで急落(現在は5~4ドルを推移)。72時間でFTXから約60億ドルの引き出しがあったとされており、同取引所は出金を停止せざるを得なくなった。そしてその数時間後に今回の買収基本合意が締結されたという流れだ。

なおCZ氏は買収発表後、「全ての暗号資産取引所が準備金の証明を行う必要がある」と主張した。同氏は「銀行が準備金を投融資に回し運営を行うが、暗号資産取引所はそれをすべきでない」と述べ、近くバイナンスが準備金を証明し、完全な透明性を示す方針であることを明かしている。

今回の買収は冒頭にも述べたように、最終的な合意ではない。今後本件がどのように進むのかは、暗号資産市場に大きな影響を与えることが見込まれ、注視が必要だ。

 

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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