【取材】分散型音楽プラットフォームStems、Emooteらから約5.9億円調達

StemsがEmooteらから約5.9億円調達

分散型音楽プラットフォームのステムス(Stems)が、プレシードラウンドで400万ドル(約5.9億円)調達したことを発表した。

このラウンドはIdeo CoLab Venturesが主導。日本の企業アカツキがシンガポールに設立したEmooteも参加した。その他の投資家としてCollab+Currency、Village Global、Polygon Studios、Merit Circle、Yield Guild Games、FireEyes、NoiseDAO、Jump、GSRらが参加した。

ステムスは「StemsDAO」や分散型音楽プラットフォーム「ステムス(Stems)」を運営している。「ステムス」は、世界中のベッドルームプロデューサー(ホームスタジオを使い音楽を制作、演奏、収録する人)が、簡単にお気に入りのアーティストとコラボレーションやつながることができる。

具体的に、アーティストはドラム、ベース、ギター、その他の個々の音楽トラックを合成した音楽を「ステムス」コミュニティに公開、ユーザーはその音源をリミックスしてMusic NFTの作成などが可能だ。なおアーティストはMusic NFTの販売時にロイヤリティを受け取ることができる仕組みとのこと。

またステムスは分散型ソーシャルメディア「レンズ(Lens)」との連携も発表した。「レンズ」はアーティストがブロックチェーン上で自分のプロファイルとコンテンツを所有し活用できるようにすることで、同プラットフォームを強化していく狙いがあるという。

「あたらしい経済」編集部は、StemsDAO共同創業者のハイサム・メンガド(Haitham Mengad)氏とEmooteのジェネラルパートナー熊谷祐二氏へ取材を行なった。

StemsDAO共同創業者ハイサム・メンガド氏へ取材

–– Music NFTには、既存の音楽配信プロセスをデジタル化するパターンと、新しい音楽をミュージックNFTで独占的に配信するパターンがあります。どちらがより可能性があるとお考えですか?

NFTは、ミュージシャンがオンチェーンでネイティブに音楽を共同制作し、そこから利益を得るための新しく極めて効率的な方法を切り開くものだと考えています。これは、リスナーがウォレットを設定して音楽と対話し、潜在的にそれを収集するよう促す新しい音楽につながります。しかし、既存の音楽配信プロセスは、いずれオンチェーン配信に取って代わられるとは思いますが、私たちはその橋渡しをする必要はないと考えています。

––Music NFTの市場を拡大するためには、Music NFTの数を増やすことが非常に重要だと考えているのですが、アーティストが自分の曲をNFT化する機会をどのように増やしていくのでしょうか。

私たちのコミュニティの半分以上のアーティストは、StemsDAOに参加する前に暗号資産ウォレットを持っていませんでした。私たちは、アーティストが音楽に集中できるようにし、徐々にWeb3のコンセプトを紹介することで、アーティストを加入させています。

Emooteのジェネラルパートナー熊谷祐二氏へ取材

––Music NFTにどのような可能性を抱いていますか?

NFTがグローバルに広がるように、音楽もまた””言葉の壁””を越えて広がる世界共通のエンターテインメントの一つです。Music NFTから、アーティストの資金調達・創作活動やビジネスモデルはもちろん、アーティストとファンが直接につながることでファンコミュニティ内のエンゲージメントが強化され、まったく新しい仕組みやムーブメントが登場することに期待しています。また、Web3エンターテインメントの最先端として、Music NFTからいち早く世界を驚かせるような事例が出てくると信じています。

––なぜStemsへ投資を実行したのでしょうか?

具体的に教えていただけますと幸いです。 StemsDAOは、アーティストが音源を提供したり、他の音源を自由に編集して新たな音楽を創り、NFTの販売などを通じて収益が自動的に分配される仕組みです。””トラストレス””や””コンポーザビリティ””といったWeb3の思想を体現したコンセプトであり、Web3だからできることを追求する彼らの姿勢、音楽エコシステムを変革しようとするその””思い””に共感して投資を決めました。また、プロや趣味のアマチュアに限らず、誰でも自分の””得意””や””好き””をお金に換えられる新たなプラットフォームの在り方には、大きな魅力を感じています。

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参考:Stems
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Floaria-Bicher

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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