SBI R3 JAPAN キックオフ ミーティング開催
エンタープライズ向け(企業向け)ブロックチェーンプラットフォーム「corda」の日本ローンチイベントが4月1日に銀座で開催された。登壇者はCordaのコア開発者であるリチャード氏とSBI R3 JapanのCTOフェルナンド氏。ファシリテーターはSBI R3 Japanの社長の藤本守氏だ。
Cordaとは何か?
Cordaとは、分散型台帳の特性を使用して送金やその他データ送信などを行うプラットフォームのことだ。世界の全業界でプライベート型のブロックチェーンを適用した商取引が可能となるよう、ある特定の取引者の間でだけデータが共有されるモデルで技術設計されている。
現在、ビットコインやイーサリアムを代表とするパブリックブロックチェーンとCordaのプライベート/コンソーシアムブロックチェーンの大きな違いは、「データの共有者を決められるかどうか」である。
そしてCordaの合意形成アルゴリズムは「ユニークネスサービスbyノータリー」だ。これはPeer(個人)が情報を送る際にそれが正しいかどうかの判断の二重チェックできるアルゴリズムだ。
その構造としては、トランザクションのチェックにプライベートチェーンにおけるノードとノータリー(公証人)が存在し、ノードがトランザクションを署名した後、ノータリーが署名する仕組みだ。
ノータリーがファイナリティを持っているので、ノータリーに署名されなければそのトランザクションは認められないという特徴がある。
既存の金融機関はCordaをどう見ているか?
フェルナンド氏は「日本のブロックチェーン企業はもっと連携していくべきだ」と言及。「私は、ブロックチェーン業界同士の連携も必要だけれど、それだけではなく、例えばコンサル業界などとも連携していってほしいと考えている。そのようにして、外からの意見をもらいながら技術を磨いていってはどうだろうか?」と語った。
また本記者の「日本の金融業界はCordaのようなプライベートチェーンプラットフォームをどのように捉えているのですか?」という質問に対して、フェルナンド氏は以下のように答えた。
「私は既存の金融機関のコアバンクシステムが少しずつ、Cordaのようなプライベートブロックチェーンに関心を持ってきていると感じている。そして、私はコアバンキングシステムでは不十分であったKYCや内部システムの問題をCordaでは解決できると考えている。まだまだブロックチェーンは未熟であることは認めるが、徐々に様々な挑戦を重ねて、成熟していくに違いない」
この回答から既存の金融業界も少しずつ変化を受け入れ始めていることを感じられた。そしてこの業界のイノベーションが起こるために重要なのは、テクノロジーファーストな人と既存金融の人が手を取り合って、既存業界と向き合うことかもしれない。
当日のイベントの参加者は、日頃「あたらしい経済」編集部がよく参加している開発者起点のブロックチェーンイベントと異なり、大手企業の中堅層が中心であったことが印象に残った。
どのようにブロックチェーンがマスアダプションしていくか、それが今回のようなプライベートチェーンからなのか、もしくはパブリックチェーンからなのか、注目であることは間違いない。